研究課題/領域番号 |
21K13018
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
陳 曦 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 助教 (10880528)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 複合語 / 複数のアクセント単位 / 地域差 / 発音調査 / 聴取調査 |
研究実績の概要 |
本研究は日本語の地域的変異におけるアクセント単位形成の実態を捉え,その地域差を検討し,さらに,アクセント単位形成の選択傾向の違いの理由を探ることを目的とするものである。 この目的を達成するため,2021年度は,まず,以前東京・関西方言の若年層話者に対する調査で得られたデータを再分析して比較検討した。 その結果,以下のことがわかった。①関西方言話者においても,東京方言話者においても全体的に非融合発音より融合発音に対する自然度評価のほうが高い。②非融合発音については,東京方言話者より,関西方言話者の自然度評価のほうが高い。③融合発音については,関西方言話者より,東京方言話者の自然度評価のほうが高い。さらに,東京方言(若年層)と関西方言(若年層)においてアクセント単位形成上の差が生まれる理由として,東京方言の複合名詞アクセントにおいて非融合アクセントから融合アクセントへという変化が起こった可能性,及びアクセントタイプの影響という可能性を提示した。この結果から,東京方言と関西方言とではアクセント単位の形成において,差があることが明らかになった。このことから他の方言間においても差があることが示唆される。 しかし,それらの可能性を検証するには,複数の方言,及び同じ方言を使用する異なる世代を調べる必要があるため,今後さらに調査を進める予定である。 今後,各方言におけるアクセント単位形成の実態を調査し,アクセントの単位形成の地域差の理由を探る。 また,今後の発音調査の準備を行なった。具体的には,調査語を収集・検討したほか,各地点調査の調査協力者を探した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度はCOVID-19の感染状況と社会情勢により,調査の実施などが当初の予定より遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
今後,アクセントタイプと東京方言の影響の受けやすさの観点から,東京・弘前・大阪・高知など複数の方言を調査する予定である。各調査地点で発音調査と聴取調査を行う予定である。 その後,各調査地点の結果に基づき,アクセントタイプ,東京方言の影響の受けやすさなどの観点から分析し,アクセント単位形成の地域差の理由を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度はCOVID-19の感染状況と社会情勢により,調査の実施などが当初の予定より遅れた。 2022年度は,成果公開の際の英文・日本語校正,調査の際の調査協力者への謝礼金などに使用する予定である。
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