研究課題/領域番号 |
21K13022
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研究機関 | 日本文理大学 |
研究代表者 |
東寺 祐亮 日本文理大学, 工学部, 准教授 (70758656)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 連体修飾節 / 主要部名詞 / スケール名詞 |
研究実績の概要 |
本研究は、連体節と主要部名詞がMerge することによって起きる意味解釈の構築を記述することで、連体節と主要部名詞の「修飾」関係を明らかにすることを目的としている。本研究では、連体節と主要部名詞の「修飾」関係として5タイプを想定しており、その観察・分析を検討するために容認性アンケート調査を実施している。2023年度は、「主要部名詞の特性が連体節の特性になっているタイプ」の再調査と、「連体節主要部の特性をもとに新しいモノを作るタイプ」に関する容認性アンケート調査を実施した。 調査は、Web上の容認性アンケート調査システム(EPSAシステム)で実施した。調査例文として、10パターン計78例を作成した。例文群は、分析が文法的であることを予測するものと、分析が非文法的であることを予測するものに分かれている。その例文の容認性判断を日本語母語話者約53名に依頼し、「どうしても許せない」「一応許せる」の二択で回答を収集した。 その結果、「主要部名詞の特性が連体節の特性になっているタイプ」(例:自動車会社の九州支部長は、福岡販売店が客に新車を販売した台数を調べた。)では、先行研究で指摘されていない属格名詞句(所有)・他動詞のガ格名詞句・付加詞句・二格名詞句の名詞の数量を数える解釈を容認する話者が60~75%程度存在すること、二重埋め込み文内の名詞の数量を数える解釈は容認されないことが確認された。また、「連体節主要部の特性をもとに新しいモノを作るタイプ」(例:美香は健が座っている右側に立った。)では、連体節の主要部が状態を表わす述部である場合容認されないことが確認された。 容認性判断は話者間の差が生じることがある。本研究では、本容認性アンケート調査を用いることで連体節の2つのタイプについてより頑健な観察を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度に本研究の土台となった研究(度合いを表わす構文の連体節・引用節・疑問節に関する研究)に関して追加調査が必要になったこと、2022年度の「主要部名詞の特性が連体節の特性になっているタイプ」の調査結果から連体節内の動詞と参与者の関係が容認性に影響を与えている可能性があり2023年度に同タイプの再調査を実施したことで、計画していた研究に遅れが生じている。連体節内の動詞・参与者と容認性の関係についてはさらに観察を行う必要があることから、現在その研究を進めている。 また、ライフイベントが生じたことにより研究時間の確保が困難になり、全体計画に遅れが生じた
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は次のように研究を進める (1) 「連体節主要部以外が持つ特性をもとに新しいモノを作るタイプ」(例:今年の夏休み、健太は弟が読んだ2倍の本を読んだ。)の容認性アンケート調査を実施する。 (2) 2023年度調査結果を分析し、「主要部名詞の特性が連体節の特性になっているタイプ」についての研究結果を公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度投稿した論文(掲載決定済み)の送料・抜き刷り等代金のために予算を計上していた。しかし、当該学会の事情で郵送や領収書の発行が送れているため、前年度の支払いが生じなかった。次年度手続きが完了すると見込まれるため、次年度に掲載予定の論文の送料等諸費用として使用する。また、送料等諸費用が計上していた額の6割程度であったため、残額は次年度研究図書等を購入する物品費として使用する。
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