研究課題/領域番号 |
21K13023
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
近藤 亮一 弘前大学, 教育学部, 講師 (30803225)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自由関係節 / 史的統語論 |
研究実績の概要 |
本年度では、コーパスを用いて初期英語における自由関係節に関する調査を進め、特定の自由関係節の特徴に対してラベル付け理論に基づいた理論的分析を考案した。 本年度に実施した調査では、抽出された例を目視により分類することで、自由関係節に関する様々な歴史的変化を観察することができた。興味深いのは、いくつかの文献で述べられているように、初期英語ではthatあるいは指示詞が先頭に位置する自由関係節が観察されていたが、それらはある時期に消失したということである。調査で使用したコーパスでは当該の例は自由関係節として扱われているが、実際にそれらがwhatを先頭に持つ自由関係節と同等の構文なのか、あるいは指示詞を先行詞として持つ関係節なのかは、先行研究での議論を踏まえながら、様々な面から検討する必要がある(e.g. Castillo (1994), Allen (2020))。 理論的分析に関しては、先行研究など(e.g. Wu (2021))で観察されているsoeverを伴う自由関係節における二つの語順パターンと、それに関連する歴史的変化に対してラベル付け理論に基づいた分析を考案した。本研究では、本年度の調査の過程で得られた歴史的事実の一部が扱われている。この研究成果は、日本英語英文学会第32回年次大会(オンライン開催)において「英語のsoever自由関係節に関する一考察」というタイトルで発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コーパス調査は順調に進んでいるがまだ完了はしていない。また、理論的分析に関しては、複数の研究方針が考案されているが、構文間の比較等については検討できていない。
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今後の研究の推進方策 |
コーパス調査を進めながら、thatを先頭に持つ例におけるthatの統語的ステータスやそれに後続する節の内部構造について検討していく予定である。また、本年度に観察された自由関係節の歴史的変化を再確認し、それらに対してラベル付け理論に基づいた理論的分析を考案する。さらに、自由関係節と文主語構文などの構文を比較し、それらが英語史においてどのように関係しているかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
オンライン開催となった学会や研究会が多く、それらへの参加に旅費を必要としなかった。また、文献などに関しては、予定していたほど追加の購入はしなかった。次年度では、対面形式で開催される学会や研究会に積極的に参加するために、旅費を使用する予定である。対面形式の学会や研究会に参加することで、自由関係節や関連する構文に関する文献の情報を収集する。
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