研究課題/領域番号 |
21K13032
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
堀田 智子 東北大学, 国際文化研究科, GSICSフェロー (30732391)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 日本語学習者 / 語用論的能力 / 発達過程 / 不同意 |
研究実績の概要 |
不同意 (disagreement) の適切な表明は、円滑なコミュニケーションを進めるうえで重要である。しかしその習得は、社会的・文化的背景が異なる第二言語学習者にとって容易ではない。そこで本研究では、日本語学習者を対象に複数の調査を一定期間実施し、不同意表明の言語的特徴(会話の展開や言語的ストラテジーなど)の変容を第二言語語用論の枠組みから検討する。また、習得に関わる要因として、学習者の言語環境と主観的態度が言語使用にどのように作用するのかを探る。研究成果をもとに、会話教材の開発を行う予定である。 2021年度は、理論研究と研究デザインの検討に注力した。具体的には、以下の5点である。(1) 文献調査を行い、日本語教育、第二言語習得論、社会言語学の観点から先行研究を整理した。(2) 以前に収集した、中上級日本語学習者の縦断的会話データから、短期交換プログラム留学生4名の不同意表明を抽出し、分析および考察を行った。(3) 予備的調査として、複数回、日本語学習者および日本語母語話者を対象に会話調査(インタビューやディスカッション、雑談)を実施し、データの収集方法を検討した。(4)日本語学習者に複数の日本語熟達度試験を受験してもらい、フィードバックを受けた。(5)市販の日本語教材で扱われている会話テーマの特徴を明らかにすることを目的として、教材分析に着手した。上記の(2)については、第46回社会言語科学会研究大会において口頭発表を行い、関連領域の研究者からフィードバックを受けた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、以前に収集したデータの再分析を行い、その結果を学会にて発表することができた。しかし、文献調査およびデータの収集方法の検討に想定以上の時間を費やした。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は、2021年度に引き続き、主に教材分析および予備調査を実施する。具体的には、以下のように予定している。(1)市販教材を分析し、会話テーマの特徴や難易度を検討する。(2)予備調査として、日本語学習者数名を対象に、①会話調査、②質問紙調査、③インタビュー調査、④日本語習熟度テストの4種類の調査を実施する。 (3) 本調査として、日本語母語話者を対象に会話調査を行い、ベースライン・データとする。(4)上記(2)(3)で収集したデータは、随時、入力作業を行う。 (5)分析結果の一部については、日本語教育学会や第二言語習得研究会等で発表を行い、関連分野の専門家からフィードバックを得る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において計画していた調査が十分に行えない状況が続き、予算に残額が生じた。2022年度も見通しが不透明な点はあるが、参加予定の学会やワークショップがオンラインから対面での開催に変更される可能性があるため、旅費の発生が見込まれる。
|