研究課題/領域番号 |
21K13034
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
伊藤 秀明 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (70802627)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ピア活動 / 視覚情報 / 受容的能力 / 動機づけ / 理解の深化 |
研究実績の概要 |
近年、読み物を通した学習者同士による協働によって新しい知を生み出すpeer readingの効果が実証されてきている。その一方で、日本語教育現場ではテクノロジーの発展により学習者の動機づけや文脈理解の支援などの観点から映像作品を活用した活動も増えてきている。 そこで本研究では、映像作品を通したピア活動peer watchingを提案し、以下の3点について研究することを目的としている。①peer watchingのための映像作品の選定、②日本語学習者を対象に映像作品の理解をめざすpeerwatchingの実践、③実践の結果からpeer watchingによる協働学習の様相の解明。 上記の目的に沿って、2021年度(初年度)は本研究において使用する映像作品の選定を行った。映像作品の選定においては、映像作品の理解の過程において協働を促す要素があるか、協力者の負担に最小限にするために映像作品は短時間であるか、などを観点とした。 そして、映像作品の選定の結果、夜間中学を舞台としたドキュメンタリー作品を使用することとし、制作関係者からも研究目的での使用の許諾を得た。本映像作品は、日本語学習者にとって同じ日本語学習者という身近な存在でありながら、生活の中で関わることが少ない夜間中学の世界のドキュメンタリーであり、協働を促すことが予想され、かつ40分程度の短い作品であることから本研究の目的に合致している。来年度以降はこの作品を基礎に研究を進める予定である。 また、本研究が視覚を対象とする背景には日本語教育におけるテクノロジーの発展があるが、これらに関連してICTに関する研究業績を発信できたことも成果の一つである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はコロナ禍の影響も想定し、映像作品の選定のみに集中することを目的としていたため、計画通り、映像作品の選定を行うことができた。可能であれば、小規模のパイロット調査も行いたかったが、それは叶わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は少しずつ映像作品を調査協力者に見てもらう段階に入っていく予定である一方で、コロナ禍の影響もまだしばらく続いていくことが予想される。このような状況の中で、映像作品を一緒に閲覧し、さらにその中で協働が起きる様相を捉えるという調査の方法については、感染対策なども踏まえた上で、遠隔などでも実現は可能であるのかなど、より具体的な検討を重ねる必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた映像作品の検討に想定よりも支出が小さくなったことに加え、コロナ禍により出張等の業務が縮小したことにより、研究補助者を雇用する必要が無かったことも次年度使用額が生じた理由となる。なお今後の使用計画としては、現在使用しているPCに不具合が生じていることからPCの購入費用や研究補助者の雇用(複数名)に使用する予定である。
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