研究課題/領域番号 |
21K13035
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大久保 雅子 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 准教授(任期付) (80835611)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 日本語音声教育 / e-learning / 日本語音韻習得 / 聴取練習 / 自律学習 / ブレンディッド・ラーニング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は以下の二点である。(1)e-learning教材の学習者使用データから、学習者の聴取混同傾向および音韻習得過程を明らかにする。(2)学習者の自律学習の実態を明らかにし、e-learning教材を使用したブレンディッド・ラーニングの効果的な方法を提案する。なお、本研究では、①無声・有声破裂音、②ナ行音・ラ行音・ダ行音、③ザ行音・ジャ行音・ヤ行音を取り上げる。 本研究では、目的を達成するために、2020年度 研究活動スタート支援20K22237(研究代表者:大久保雅子)において開発されたe-learning教材を利用し、研究を行っている。2022年度は、前年度に得られた研究成果に基づき、本e-learning教材の「有声・無声破裂音コース」および「ナ行音・ラ行音・ダ行音コース」の改良を行った。さらに、新たに「ザ行音・ジャ行音・ヤ行音コース」の増設を行った。 2022年度に実施した韓国語母語話者4名を対象とした調査の分析を行ったところ、本e-learning教材を使用した聴取練習に一定の効果があったことが明らかになった。また、聴取が難しい音も明らかになったが、先行研究で指摘されている誤聴傾向とは異なっていることが示された。 さらに、2022年度に実施したベトナム語母語話者13名を対象とした調査の分析を行ったところ、先行研究で指摘されている誤聴傾向はみられず、ザ行音・ジャ行音・ヤ行音の誤聴傾向は、様々な方向性を持つことが明らかになった。また、学習者の聴取練習の継続データから、学習者自身が自分の誤聴傾向を知り、気づきを得ながら日本語音としての新たな音韻カテゴリーを形成することが重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、本研究者の所属研究機関が変更となったため、当初、予定していた中国語母語話者を対象とした調査に遅れが生じた。一方、ベトナムの大学で学ぶ日本語学習者を対象とした調査は予定通りに実施することができ、研究成果を得ることができた。さらに、韓国の大学で学ぶ日本語学習者を対象とした調査を実施、研究成果を韓国の学会で発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、8月に開催されるベトナムの学会で研究発表(採択済み)を行い、現地の日本語音声教育事情を調査する予定である。 過年度では海外で日本語を学ぶ学習者を対象として調査を行ってきたが、2023年度は日本国内にいる日本語学習者を対象として調査を行い、誤聴傾向および自律学習の実態を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に予定されていた、中国語母語話者を対象とした調査が延期になったため、謝金の未使用分が生じた。2023年度に使用予定である。
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