研究課題/領域番号 |
21K13042
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
坪田 珠里 関西大学, 国際教育センター, 留学生別科特任常勤講師 (70897446)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 日本語教育史 / 海外の日本語教育 / 日本語教育政策 / ベトナム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日仏共同支配期から1990年初めまでのベトナムにおいて、当時の国際関係、国内経済社会状況及び教育思想に着目しながら、日本とベトナム双方の日本語教育関係者の<日本語・日本語教育の経験>が、いかに当時の日本とベトナムの交流そのものを支えてきたかを明らかにすることである。国交がなく、またベトナム人と外国人との接触が制限されていた時代において、日本語教育の継続のために尽力してきた日本とベトナム双方の関係者に対する聞き取り調査を行い、その裏付けのための資料調査を行う方法を採る。 2021年度においては、海外出張や国内出張による関係者への聞き取りを予定していたが、COVID-19の状況により実施することがかなわなかった。一方で、文献調査(ベトナムの共産党関連文書)と、国内在住の関係者へのメールでの聞き取り調査を行い、1970-80年当時のベトナムの日本語教育の状況について、実態をより詳細に知るための調査を行ってきた。また、これまで行ってきた聞き取り調査の中でも、特に、1950年代から1970年代に旧ソ連や北朝鮮で日本語を学んだ経歴を持つ人物たちのインタビューを中心に分析し、その結果を取りまとめた論文を執筆した。本論文は、「ソ連や北朝鮮で日本語を学んだベトナム人たちのオーラル・ヒストリー ―日本語の「学び」と「教え」の経験の解釈―」として、『日本オーラル・ヒストリー研究』第17号に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度においては、海外出張や国内出張による関係者への聞き取りや資料収集を予定していたが、それ以前から続くCOVID-19の感染状況のため、ベトナムへの入国制限や国内での移動制限があり実施できなかった。本研究課題は、国内外の関係者へのインタビューが不可欠であるため、それが実施できなかったことによる研究全体のスケジュールへの影響は大きい。2022年度以降は海外渡航を実現させたいが、調査協力者の協力が得られれば、オンラインでのインタビューを実施するなどの方策を考えて行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度においては、2021年度に実施できなかった海外出張や国内出張が可能な状況であれば、それらを実施していく予定である。海外出張では、日仏共同支配期にフランス政府から日本語を学んだベトナム人日本語教師のご親族へのインタビューを引き続き行い、その成果を発表していきたい。また、1980年代に日本共産党の派遣によりベトナムで日本語を教えていた関係者への聞き取り調査も同時に進め、成果を発表していきたい。また、すでに申請し閲覧可能となった外交資料の閲覧や資料収集を外交資料館で行う予定である。 さらに、博士論文と、博論提出後に執筆した論文の内容と編集した書籍の出版も考えているため、書籍出版についてのスケジュールも進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、COVID-19の状況により、海外出張や国内出張が実施できず、旅費を使用させて頂くことができなかった。2022年度においては、2021年度に実施できなかった海外出張や国内出張が可能な状況であれば、それらを実施していく予定である。海外出張では、日仏共同支配期にフランス政府から日本語を学んだベトナム人日本語教師のご親族や他関係者へのインタビューを引き続き行い、インタビューデータのテープ起こしのために謝金を利用させて頂く予定である。また、1980年代に日本共産党の派遣によりベトナムで日本語を教えていた関係者や、1970-80年当時にベトナムへ留学あるいはベトナムで勤務されていた方々へのインタビュー調査、および外交資料館での資料収集のために、旅費や謝金を利用させていただく計画である。
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