研究課題/領域番号 |
21K13088
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研究機関 | 多摩大学 |
研究代表者 |
小林 昭菜 多摩大学, 経営情報学部, 専任講師 (20784169)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 日ソ関係史 / 冷戦史 / ソ連史 / 日本近代史 / 国際関係 |
研究実績の概要 |
本研究は、戦後日ソが国交を回復するに至るまでの過程を、日本人捕虜・抑留者の側面から検討し、スターリン期に偏った抑留研究からの脱却を目指すものである。計画立案時から収束化の目処が立たないコロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、ロシア、米国での史料調査に影響が出ることを考慮していたため、上記の目的に基づき、まず初年度(令和3年度)は、国内での研究活動に力点を置いて実施した。これまでロシアで収集してきたロシア語一次史料の総合的分析、新聞記事や回想記等から1950年以降の日本政府や米政府の対ソ観を調査した。さらにこれまでの自身の研究成果を再検討し、反省点をピックアップしながら日・ロ・英の一次史料から複眼的な考察を試みた。海外調査が困難ななかで、未刊の史料へのアプローチはできなかったが、現在ある史料を基にした研究成果の発信にも力点を置いた。特にオンライン研究大会へは積極的に参加し、英語とロシア語の両言語で成果の発表を行い、海外の研究者と活発な議論を交わした。 研究成果の社会への還元も積極的に実施した。市民講座、中学校訪問、舞鶴引揚記念館での講演は反響が多く、抑留史の認知度を高める活動に貢献できたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は、コロナの影響を考えて国内研究に注視する計画であった。これまでロシアで収集してきたロシア語一次史料の再分析と考察に加え、日・英一次史料の分析、資料集として出版されているロシア側の一次史料集の読解に時間を割いた。しかしながら先行研究の分析が不十分なままであるため、この反省は次年度で克服していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
調査2年度は国内調査と海外調査とを並行して実施する予定であるが、2022年2月24日のウクライナ侵攻によってロシアへの渡航が厳しい状態にある。従って予定していたロシア外交史料館での調査はできない可能性がある。米国立文書館にてソ連政府の未帰還者への扱い、米国の日ソ外交交渉モニタリングにおける日本人未帰還者の捉え方を調査していきたいが、こちらもコロナの影響を見ながら適宜調整していくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響がまだ見通せない状況にある。海外調査が計画通りにいかない可能性が引き続き懸念される。これら未使用額を次年度海外調査に充当する予定であるが、コロナ禍の終息が見通せないため、計画の延長も考慮中である。
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