研究課題/領域番号 |
21K13089
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
小幡 圭祐 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (30770127)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 三島通庸の思想 / 薩摩藩 / 郷中教育 / 儒教 / 朱子学 / 山形県令期の行動 / 県都建設 / 電信政策 |
研究実績の概要 |
本研究は、明治初年に長らく地方行政に携わり、その後に中央行政にも参画した、薩摩藩出身の官僚・三島通庸(1835~1888)の思想と行動を、彼の残した豊富な一次史料の総合的分析により解明し、地方・中央行政史研究を深化させることを目的としている。 2021年度においては、三島の行動を考察する前提として、思想分析を行った。具体的には、国立国会図書館憲政資料室所蔵「三島通庸関係文書」所収の三島直筆の文書を網羅的に調査・分析し、三島の思想の特質を検討した。分析の結果、三島は薩摩藩時代に同藩出身者との交流や郷中教育などの経験から、四書・五経などの経書に裏打ちされた儒教的価値観を獲得し、これをもとに「道」を強烈に意識していたことを明らかにした。また、実際の事業を推進するにあたっては、自身の県政を儒教的価値観から評価し、また新規事業の推進に際しては、儒教の中でも朱子学的発想を発揮した上で、神道や西洋の技術を正当性の付与や手段として活用していたことを山形県政を事例として解明した。分析の成果は、山形史学研究会で研究発表を行い、査読論文「三島通庸における〝伝統〟と〝革新〟―山形県政と儒教の関係―」(『歴史』138輯)として公表が決定している。 また、2022年度に実施予定であった山形県令期の行動の分析にも着手することができた。具体的には、「三島通庸関係文書」のほか、山形大学附属博物館・山形県総務部学事文書課分室県史資料室所蔵の山形県政に関する史料を網羅的に調査・分析を行った。分析の結果、県都建設と電信政策における三島の思想と行動の関連を詳細に解明した。分析の成果は、県都建設については論文「山形県の県都を建設したのは三島通庸か?それとも薄井龍之か?」(『山形史学研究』49号)として公表し、電信政策については郵政歴史文化研究会分科会(第4分科会)にて研究発表を行い、また雑誌論文を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2021年度においては、予定していた研究計画通りに調査・分析を行うことができた。さらに、2022年度に予定していた研究計画の一部にも着手することができた。当初の計画以上に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
現段階において研究計画遂行上に問題は見られないため、基本的に予定している研究計画にもとづき研究を推進する予定である。2022年度においても、「三島通庸関係文書」をはじめとする、未刊行史料の丹念な調査・分析と研究成果の公表を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入・資料複写費として適正利用した結果、やむなく端数として生じたものである。次年度には物品購入・資料複写費として有効利用する予定である。
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