日本古代において、国家祭祀儀礼の整備の一環として、神祇祭祀に際しての留意事項をまとめた触穢規定が成立し、その後、平安期末にかけて、各神社でも独自の触穢規定の存在が確認されはじめる(諸社服忌令)。それら成立の背景として、神社毎での触穢にかかる前例の蓄積に加え、そもそも朝廷においても触穢に関する判断にあたっては、最終的にそれを判断するのは神であるという基本理解が存在した。同時期において、神は神社へ常駐するものという認識の変化があり、それが各神社の祀る神の「個性」への認識の深化、そしてひいてはその神毎に判断が下されるものとしての触穢規定の成立が考えられる。
|