本研究は、日本古代の王権構成者(天皇・太上天皇・皇太子・皇后など)の居住形態の再検討を行い、日本古代王権構造の特質のさらなる解明を目指すものである。特に「東宮」「中宮」「後宮」のような居所派生語に着目して、日中比較検討を行った。その結果、日本のキサキが「天皇の妻」ではなく「天皇の子の母」として導入されたことが明らかになった。これによって、キサキの地位が子を産み、母として後見する役割を負うもので、王権を分掌する権力を保持していなかったとする研究代表者のこれまでの研究との整合性を見出すことができた。
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