研究課題/領域番号 |
21K13105
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
渡邉 公太 帝京大学, 文学部, 講師 (90713404)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 日米関係 / 国際仲裁裁判 / 国際司法裁判 / 国際連盟 |
研究実績の概要 |
本研究は仲裁裁判条約を通した近代日米関係史に関する実証研究である。そのためには日米両国の一次史料を幅広く渉猟し、分析を進める必要がある。しかし現在のコロナ渦の影響により、本来の主目的である海外のアーカイブでの史料収集については、自ずと限界があった。 そのため、本研究プロジェクトの1年目となる2021年度は、次年度以降に本格的に海外での史料収集を実施する前提として、国内で収集可能な二次文献や先行研究の収集・解析を行うこととした。とりわけ本研究に関連する先行研究については、大別して①国際法学の分野、②外交史研究の分野とが存在する。本研究は基本的に②の立場に立つが、量的には①の先行研究が充実している。ただし②の分野においても、近年は国際連盟研究の急速な進展もあり、本研究と間接的に結びつくものもある。また量的には①が多いとはいえ、比較的近年の成果は少なく、同時代や戦後直後の文献が中心である。なお英語圏の先行研究にも同様の傾向がみられる。①と②の融合という点からしても、両分野に関する基礎的な学修も継続する必要がある。 さらには、こうした先行研究の状況を踏まえ、本研究の今後の見通しとしては、単なる外交史研究の枠組みにとらわれず、グローバル・ガバナンス論などの理論的研究に対する示唆を与えられるような分析視角の導入が必要であることを痛感した。こうした分析枠組みの設定は、一次史料の収集と併せ、2年目以降の大きな研究課題として出現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究に直接関連する先行研究の収集・解析については、一定の成果を得ることができた。だがその一方で、約30年の長期間におよぶ時期設定という点からして、より有効な分析視角の設定が必要であることが明らかとなった。一次史料の収集が十分にできない環境において、分析視角の設定にも障害が生じたためであるが、次年度以降の課題とすることで、当初の予定からの遅れを取り戻すことを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、何よりも国内外の一次史料の収集が最も重要であり、それを基にして新たな分析視角の設定に取り組むことが求められる。特に海外の史料収集については、依然としてコロナ渦の影響で見通しが持てない部分もあるが、可能な限り国内で収集可能な刊行史料やオンラインで公開されている史料の収集を本格化させたい。 さらには研究の過程で得られた知見については、随時学会や研究会で発表し、そこで得られたコメントを次のステップに生かせるように、積極的に成果発表も行っていくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦の影響により、学会・研究会のための出張や史料収集が実施できず、そのための旅費が執行できなかったため。
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