研究課題
若手研究
本研究では、明治維新が成し遂げられた一要因を、公家の幕末期の内政・外政に対する構想を通して次のことを明らかにした。その際、従来、十分に検討されてこなかった明治後に勢力を落とした公家を含め検討した。19世紀初頭以降の対外情勢の変化を受けて、公家内で対外問題への危機感が高まり、それは内乱の回避という共通認識を生み出した。この意識は維新の遂行を円滑にした一方、国内体制をめぐる公家内での分裂は維新後の公家全体の包括・協調への課題となった。
日本近代史
本研究の学術的意義は、明治維新という近代日本の始まりの一要因を、これまで多くは検討されてこなかった明治後に力を落とす公家も含めて考察し、公武関係を通して再検討して明らかにしたことである。明治維新という国際環境が急変する中での変革期における公家と武家の関係は、厳しい国際環境の中での国内外問題への対応と変革期の二大勢力のあり方を考察しうるという社会的意義がある。