研究課題/領域番号 |
21K13111
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研究機関 | 京都精華大学 |
研究代表者 |
堀井 佳代子 京都精華大学, 人文学部, 講師 (30886643)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 陣定 / 村上天皇御記 |
研究実績の概要 |
本研究は10世紀の「陣定」定着期の実態について検討することを目的としている。従来の研究では、主に貴族の日記を素材として政務が復元されてきたが、ここでは天皇の日記を用いることで、より立体的に政務を検討することを目指した。本年度は、『三代御記逸文集成』に収められている『醍醐天皇御記』『村上天皇御記』の逸文を整理し、「定」に関わる記事を広く抽出した。『西宮記』影印本を用いて対照し、本文確定作業を行った。10世紀の陣定を考える材料になり得る資料を一定程度集積した。次年度はこの資料を基礎に検討を進めていく。 先行研究は単独の公卿で軽微な事項を定めるケースと複数人の公卿が集まって重大事項を定めるケースの二種類の「定」があることを指摘しているが、10世紀の事例がそのどちらに当たるのか、またそのような区分けは有効なのかをこれから慎重に確認する必要がある。また「定」の結果に天皇がどう関わるのかについても、いくつかの重要な事例を見出だし、一定の見通しを得ることができた。 それに加え、貴族社会における政務のありかたに関わってくる平安時代後期の古記録(『水左記』)の注釈を担当し、共著として発表した。 また当該研究の目的・背景について学生・一般の方に理解してもらうことを目指して、「最新の研究成果に触れる―文学・歴史の方法―」というテーマのもとで分担を行いパネル・紹介動画を作成し、京都精華大学情報館において展示・公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍による移動制限のため、遠方での資料調査が叶わなかった。また研究機関異動による環境の変化により図書館などでの資料へのアクセス状況が変化した。そのため資料収集が思うようにははかどらなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究時間を確保して、調査資料の整理をすすめるとともに、遠方での資料調査を再開させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ流行により、遠方への資料調査が叶わなかったため、今年度の旅費として使用できなかった。翌年度に調査を行うように計画を変更した。
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備考 |
京都精華大学情報館・展示「最新の研究成果に触れる-文字・歴史の方法-」(2022年2月16日~22日)においてミニ講座・パネル展を分担して担当
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