研究課題/領域番号 |
21K13120
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阿路思 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 招へい研究員 (70897016)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 内モンゴル / 札薩克衙門档案資料 / 清朝 |
研究実績の概要 |
清代内モンゴル地域の札薩克衙門档案資料の調査が不十分であったため、今年度は、中国から刊行された札薩克衙門档案資料調査を行った。 近年、伊克昭盟(内モンゴル自治区西南部)、喀喇沁左翼旗、翁牛特右翼旗、蘇尼特左旗、科爾沁左翼後旗などの札薩克衙門档案資料が刊行されている。令和4年度の年度から今年度の前半までは、『喀喇沁左翼旗王府档案』と翁牛特右翼旗札薩克衙門档案資料として出版された『赤峰地区清代蒙満文档案漢訳匯編』の資料調査を行った。『喀喇沁左翼旗王府档案』の収録資料は膨大な量を有し、目次情報を把握した上、政務に関連する内容を収集した。『赤峰地区清代蒙満文档案漢訳匯編』に収録されている資料は、赤峰市档案館所蔵の「清代翁牛特右翼旗全宗档案」から構成され、資料集の数が少ないため、通読した上、調査結果を『清代蒙旗札薩克衙門档案資料について:「赤峰地区清代蒙満文档案漢訳匯編」を中心に』にまとめた。 『喀喇沁左翼旗王府档案』は、中国遼寧省喀喇沁左翼モンゴル族自治県档案局所蔵の資料であり、同旗札薩克衙門档案資料の圧倒的多数は内モンゴル档案館に所蔵されている。資料集の量が大変多く、また、記事本末体の記述方式が採用されているため、全体像を掴みにくく、官吏の活動重心がいかに変化したかを解明することが困難である。したがって、今年度の後半は、前近代東部内モンゴル地域と同様に早い段階で農地化が進んだ伊克昭盟鄂爾多斯左翼前旗(準格爾旗)の札薩克衙門档案資料の調査に着手した。この地域の資料集の記述方式は編年体であるため、盟旗制度における官職の交替および行政の機能と構造の実態を系統的に把握しやすい。内札薩克六盟の共通する部分を中心に資料調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究の進展に伴い、調査資料が大幅に増え、これらの資料を使って充分な研究成果を得るために、当初の研究計画を変更する必要が生じたことにより、その調整に予想外の日数を要したため年度内の完了が困難となった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度行った『準格爾札薩克衙門档案』の資料調査結果の一部を整理し、「清代中後期における内札薩克盟長官職の一考察:準格爾旗札薩克衙門档案資料を中心に」というテーマで学会報告を行う上、同テーマの学術論文を執筆する。令和4年度執筆した学術論文をもとに、今年度収集した資料を充分に利用し、訂正作業を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が遅れているため、次年度使用額が生じた。次年度は日本国内における資料収集や、書籍購入、学会参加、資料の複写のために使用予定である。
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