研究課題/領域番号 |
21K13125
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
成田 千尋 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (20790059)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 沖縄 / 韓国 / 中華民国 / 冷戦体制 / 東アジア / 朝鮮戦争 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、①米軍統治下の沖縄の保守勢力の形成過程、②同時期の沖縄の韓国、中華民国との経済・通商関係に焦点を当て、日米沖関係や革新勢力の動向を中心に検討が進められてきた当該時期の沖縄の政治状況を、より立体的に解明することである。このために、米軍の沖縄占領が始まる1945年から沖縄の施政権が返還される1972年までの期間を、四期に分け検討することを予定している。 研究の1年目に当たる2021年度は、1945年から1952年までの時期について、現地での資料調査等を踏まえて検討することを予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、現地調査は実施できなかった。しかし、日本の図書館等に所蔵されている沖縄に関する研究文献や、インターネットから入手可能な韓国、中華民国の文献・史料の調査を進めた。これに加え、これまで視野に入っていなかった中華人民共和国(以下、中国)の研究論文データベースも活用し、東アジアにおいて冷戦期の沖縄がどのように捉えられているのかについて考察を深め、「東アジア冷戦と沖縄」というタイトルで、『歴史学研究』2022年6月号に寄稿した。また、2020年に出版された『沖縄返還と東アジア冷戦体制』の韓国語版の出版作業を通して、台湾の国史館に所蔵されている戦後の沖縄や韓国と中華民国との交流に関する写真を多数把握した。今後、これらの写真と文献史料の対照作業を進めていけば、冷戦期のこれらの地域・国家間の交流について具体的に明らかにする糸口になると考えられる。さらに、朝鮮戦争が同時期の東アジアに与えた影響についても検討し、対外問題研究会及び明治学院大学 国際平和研究所の主催による連続研究会「朝鮮戦争の『遺産』と克服の課題」で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、新型コロナウイルス感染症のために沖縄で予定していた現地調査を実施することができず、計画通り研究を推進することができなかった。ただ、中国でこの間に中華民国政府の史料をもとにした研究が進展していることが把握できたため、台湾での資料調査が実施できるようになれば、それらの先行研究を参考に、研究を進展させることが可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も新型コロナウイルス感染症の影響が続くことが懸念されるが、可能な時期に沖縄で現地調査を行い、琉球列島米国民政府の関連文書や保守系の政治家・経済人の著作の収集、インタビュー調査を実施する。海外への渡航が可能となれば、韓国、台湾でも現地調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、沖縄及び東京での資料調査と、それに関連した資料の購入を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大のために沖縄での調査を全く実施することができず、このために次年度使用額が多く残ることとなった。今年度は、昨年度に実施できなかった調査も含め、可能な時期に少しずつ沖縄で調査を実施することにより、遅れを取り戻したいと考えている。海外での調査が可能となれば、韓国、台湾でも調査を実施する予定である。
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