研究課題/領域番号 |
21K13130
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研究機関 | 川村学園女子大学 |
研究代表者 |
大西 克典 川村学園女子大学, 文学部, 准教授 (20758958)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | イタリア / 憲法 / ハプスブルク / 啓蒙 |
研究実績の概要 |
新型コロナウィルスの流行とそれに伴う渡航制限により、本年度はイタリア等での史料調査を断念せざるを得なかった。このため、先行研究の整理と1790年初頭の状況の整理を主に行なった。 先行研究に関しては、19世紀前半の刊行史料から、1960年代のWandruszka、2020年代に入ってからのR. Pastaの研究に至るまでの主要な研究を一通り確認し終えることができた。この結果、多くの先行研究が1789年前後の史料の存在に言及しつつも、それを踏まえて憲法計画放棄の原因を考察するまでには至っていないことが確認された。 上記の研究史の整理を生かしながら、1790年初頭の政治状況をトスカーナだけでなく、広くハプスブルク家の支配領域全体について理解しようと努めた。外交的に見れば、1790年前半のハプスブルク君主国はヨーゼフ2世の治世末期に始まったオスマン帝国との戦争が続き、プロイセンとも一触即発の状態にあり危機的な状況にあることが分かった。また内政面をみても、ネーデルラントの反乱やハンガリー議会の紛糾など多くの問題を抱えており、1790年はハプスブルク家にとって、そしてトスカーナでの憲法発布を計画していたピエトロ・レオポルドにとっても危機的な状況であったことが判明した。 今後は、これらハプスブルク家支配下の諸国の危機的な状況が、どのように、そしてどの程度までトスカーナの憲法計画の断念へとつながっていくのかをフィレンツェ・ウィーンなどに残された史料の調査を通じて解明することが課題となるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最大の原因は、新型コロナウィルスの流行により国外での史料調査が行えなかったことにある。ほとんどの史料が刊行されていない本研究にとってはこれは大きな障害であり、研究計画の変更を余儀なくされた。具体的には、当初予定していたフィレンツェやウィーンでの調査を二年目以後に回して、本年度は先行研究の整理や二次文献からの情報収集を集中的に行った。 この作業によって次に参照すべき一次史料をかなり絞り込むことができた他、今後の研究の方向性にもある程度の展望を得られたが、史料調査にもとづく独自の見解を得るという作業は進まなかった。たしかに現段階では当初の研究計画より遅れているものの、今年度に行なった先行研究の整理・二次文献から得られた情報を活用することで来年度以降での挽回は十分可能である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に得られた情報を生かしながら、フィレンツェ国立文書館、次いでウィーンでの史料調査を行う予定である。特に1790年にヨーゼフ2世の死を受けてウィーンへ移動したレオポルドとフィレンツェに残った大臣たちとの間で交わされた書簡資料は、財務委員会文書Segreteria di Finanzaや摂政文書Reggenzaに分散して残っているので、それらを参照することで1790年初頭の状況がより詳しく理解できる。 また、これまでの調査でレオポルドはハプスブルク家治下の諸国でみられた身分制議会を肯定的に見ていたことが分かっている。レオポルドの個人文書を含む官房文書Segreteria di Gabinettoにネーデルラントやハンガリーに関する覚書などがないかも合わせて確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により、本年度に実施予定であった国外での史料調査を断念せざるを得なかった。その結果、本年度に使用予定であった旅費を次年度に回す必要があるため。
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