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2023 年度 実施状況報告書

初期合成染料の染色堅牢性評価と変退色挙動の検討

研究課題

研究課題/領域番号 21K13145
研究機関独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所

研究代表者

片渕 奈美香  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, アソシエイトフェロー (80882852)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード染織文化財 / 初期合成染料 / 耐光堅牢性 / 変退色 / 保存修復
研究実績の概要

3年目の本年度は、これまでに作成した変退色サンプル布を対象に、科学的調査を実施した。光による染色堅牢性評価では、分光測色計(CM-2600d、KONICA MINOLTA)により取得したL*a*b*値、これらから算出した色差(ΔE*ab)、分光反射率を用いた。その結果、塩基性染料サンプル布では、露光の早い段階から色調変化が顕著に見られ、酸性染料サンプル布よりも総じて変退色が大きいことを確認した。また露光に伴う分光反射率の変化では、酸性染料では、特徴的な変化が見られなかったが、塩基性染料では、未露光時に見られた360-460nm間のピークが露光により低下した。このように塩基性染料では、露光に伴い、一定の波長範囲において特徴的な変化が見られるため、さらに検討を行う必要がある。以上の結果をまとめて日本文化財科学会において発表した。変退色挙動の検討では、当初の計画では、変退色サンプル布からの抽出液について吸収スペクトルの測定を行うことを予定していたが、所属機関に既存の分析機器であり、非破壊・非接触で分析調査が行えるハイパースペクトルカメラおよびフーリエ変換型赤外分光光度計が使用できることになったため、計画を変更して、こちらの測定を先に行うことにした。露光により染色布に生じた化学的変化を調べるため、前述の装置を用いて、変退色サンプル布の測定を行った。現在、測定については完了し、取得データの解析・考察を行い、成果報告の準備を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

3年目の本年度は、初期合成染料の変退色挙動の検討として当初計画していた実験手法ではなく、今後、文化財の分析調査への導入が進むと考えられる新たな実験装置を用いて、データ測定を行った。初めての測定や不慣れなデータ解析と考察に取り組むことになり、予定より時間を要したため、本区分を選択した。さらに1年間の研究期間延長を申請して、再現性の確認のための追加実験や成果報告を行う予定である。

今後の研究の推進方策

今年度は、研究期間を1年延長し、作成した変退色サンプル布について、引き続きデータ解析を行うとともに、現在、取得データの整理・分析を行っている成果をまとめて、論文投稿や学会発表を行う予定である。さらに、変退色サンプル布についての変退色挙動に関わる基礎情報を得るために追加実験や測定を検討している。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画では、作成した変退色サンプル布からの抽出液について吸収スペクトルの測定を行う予定であり、使用する溶媒の関係で、ドラフト内に移動可能な可搬型の装置を購入する予定であった。今年度は、所属機関に既存で非破壊の分析機器を使用することが出来たことから、購入予定であった装置の購入を見送ったため、次年度使用額が生じた。該当の研究費については、延長した次年度に行う予定である、再現性の確認のための追加実験や成果報告などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 明治期に用いられた初期合成染料の耐光性評価2023

    • 著者名/発表者名
      片渕奈美香、谷田貝麻美子
    • 学会等名
      日本文化財科学会第40回大会

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公開日: 2024-12-25  

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