研究課題/領域番号 |
21K13173
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研究機関 | 東洋学園大学 |
研究代表者 |
玉井 隆 東洋学園大学, グローバル・コミュニケーション学部, 准教授 (40845129)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ナイジェリア / 暴力 / 精神医療 |
研究実績の概要 |
今年度は実績としてアウトプットした成果は想定より少ないが、以下3点を実施することができた。 (1)本研究が重視する概念の1つである<暴力>について、アフリカ地域研究、哲学、倫理学、社会思想、歴史学、文化人類学の各分野で行われている研究概要と文献リストの作成、その読み込みを行った。広範な議論が展開されているため、来年度も引き続き文献サーベイを行う必要があるが、特に近年着目される、ケア研究との関連に焦点を当てる必要があることが明らかとなってきた。(2)ナイジェリア国内における治安機関による暴力について調査するために、ナイジェリアの調査補助者と協議を重ね、22年度後半にかけて、調査補助者が暴力被害にあった人物計7名の聞き取りを行った。さらに22年度2-3月にナイジェリア渡航ができたため、調査補助者が行った聞き取り対象者に、筆者自身も会い、追加の聞き取り等を行うことができた。インタビューによれば、自身の暴力被害について、国内メディアやSNSを通じて精力的に発信することができる人物がいる一方で、アウトプットが全くできず、また長期間にわたり刑務所に収監されたことで、強くトラウマを抱え生活の再建が困難となるケースもあった。(3)精神保健・医療に関する調査について、ナイジェリア渡航の際に、関係者との調査内容と研究倫理に関する打ち合わせを行い、また病院内の視察を行った。病院では、COVID-19流行が概ね落ち着いたと捉えられ、外部調査者の調査が可能となった一方で、研究倫理の審査手続きに多大な時間を要することが発覚した。このため病院長やラゴス大学社会学部の教員らと打ち合わせを行い、可能な限りスムーズな調査の実施のための方策を練った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
21年度及び22年度夏期にナイジェリアでのフィールド調査を行うことができなかったため。本研究の交付申請書に基づけば、2021年度及び2022年度は夏・春期にナイジェリアへのフィールド調査を実施する予定であったが、外務省が発出するナイジェリアの感染症危険情報レベルがレベル3であったため、夏期調査は断念した。ただしその後レベルは1までに引き下げられたため、春期に調査を行うことができている。
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今後の研究の推進方策 |
研究進捗がやや遅れていることを強く意識しつつ、2023年度は以下3点を実施することとする。 (1)当初の予定よりも十分に行うことができていない、ナイジェリアにおけるフィールド調査を可能な限り長く実施し、調査データの収集・分析を行う。特に精神科病院での、患者及び医療者への聞き取りと、病院内での参与観察を集中的に行う。患者については集中的に聞き取りを行うことに協力してくれる方を募り、その家族にもアプローチする。(2)他方、22年度にすでに行った、治安機関による暴力被害にあった人々に対するインタビュー調査のデータがすでにある。23年度はこれの分析を進め、論文執筆を行う。なお同分析にあたっては、国家・治安機関双方の動向が大変重要となるため、23年2~3月に実施されたナイジェリア大統領・議会選挙の動向も踏まえて行う。(3)引き続き暴力とケアに関する文献レビューを行い、先行研究を踏まえた本研究の独自性を詳細に説明できるようにする。アフリカを対象としたケア研究及び暴力の人類学に関する最新の動向を集中的に調査する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では夏・春の2度にわたりナイジェリアでのフィールド調査を行う予定であり、その支出分を見込んでいたが、COVID-19の影響により、ナイジェリアは外務省感染症危険レベル3であり、フィールド調査を夏期に行うことができなかったため。なおその後レベルが下がり春期は調査を行うことができている。次年度分の資金は主として先行研究・関連研究に関する書籍・論文の入手及びフィールド調査実施のための資金として使用する。
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