研究課題/領域番号 |
21K13174
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研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
山越 英嗣 都留文科大学, 文学部, 准教授 (00843822)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | オアハカ移民 / ゲラゲッツァ / 互酬性 / ロサンゼルス |
研究実績の概要 |
2023年8月に、ロサンゼルスのメキシコ移民同郷会ORO(オアハカ地域組織)の主催する祝祭ゲラゲッツァを現地調査した。現地調査では観客へのインタビューを行い、オアハカ移民以外の者が含まれていることが明らかになった。なかには、エルサルバドルや韓国人コミュニティの出身者が含まれていた。また現地調査では、OROの代表や、民俗ダンスグループのウアシャカクの主催者にインタビュー調査を行った。かれらによれば、とくにコロナウィルスが感染拡大し、甚大な被害をもたらした2020年以降、ロサンゼルスは治安悪化や物価高騰がすさまじい勢いで進行し、もはやオアハカからロサンゼルスに移住するメリットが失われつつあるという。そのため、ロサンゼルスのオアハカ移民は減少傾向にあり、コミュニティの安定的な維持が危ぶまれている。そのようななかで、オアハカ移民たちは他のエスニックマイノリティとの連帯を求めていることが考えられる。そのさいにかれらを結びつけるキーワードとして用いられるのが相互扶助の精神としてのゲラゲッツァ(Guelaguetza)である。本来、ゲラゲッツァはオアハカの先住民族であるサポテコ族が村落内での社会関係を維持するために用いてきた概念であった。しかし、ロサンゼルスのオアハカ移民たちもまたこの概念を柔軟に再解釈しながら、コミュニティ内部だけでなく、本来的には外部に位置付けられてきた他のエスニック集団との連帯のためにも用いているのである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルスの現地での感染拡大の影響で、現地調査ができない状況が続いたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、オアハカにおけるゲラゲッツァとロサンゼルスの移民たちが用いるゲラゲッツァの概念がどのように異なるのかを明らかにする必要がある。そのため、文献や現地を訪れて調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
メキシコ・オアハカ州での現地調査について十分な時間が取れなかったので、翌年に実施することにしたため。
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