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2023 年度 実施状況報告書

カーボヴェルデの島民と移民の新たな「故郷」の構築と創造をめぐる人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K13175
研究機関関西大学

研究代表者

青木 敬  関西大学, 文学部, 准教授 (60791217)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード民族誌映画 / 故郷 / カーボヴェルデ / ソダーデ/サウダーデ / クレオール性
研究実績の概要

2023年度は、8月から9月にかけて民族誌映画制作のために西アフリカ島嶼国カーボヴェルデで調査を実施した。とりわけ強調すべき点は、映画制作のために研究協力者として映像作家と同行したことである。というのも、従来の民族誌映画では、調査者が参与してこなかった点を反省的にとらえていることが指摘されている。そこで調査者が被写体とともに映画制作をおこなうことで、相互行為をとおして新たな生活実践を営むことを試みた。
具体的な内容としては、カーボヴェルデ語に固有である故郷にたいして感じる郷愁、すなわちソダーデの概念についての断片的なイメージを収集した。それは、調査者と映像作家によるソダーデのイメージである。これを組み合わせることによって、理路整然とした映像データではなく、抽象的な表現としての映像データを得ることができた。
もうひとつの調査内容は、被写体(映画の主人公)と彼を取り巻く人びとの関係性、被写体の日々の生活と考え方(ライフスタイル)、さらには被写体が抱える個人的問題(ドラッグ中毒、アルコール中毒)との向き合い方などといった、極めてパーソナルな問題にも直接かかわることができた。むろん、これらに関する映像データも入手できている。
これらのことから、結果的に質の高い多くの映像データを得ることができ、被写体との新たな関係性を構築することに結びついた。これで必要な映像データが揃い、編集作業に取り組む準備が整ったといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに収集してきた映像データの質と量を鑑みて、民族誌映画を制作(編集)するための十分なデータがある。また、これまでの研究で実践しきれなかった、調査者による映画への参与的側面が、今回のフィールドワークで成功していることから、現時点での研究の進捗状況はおおむね進んでいるといえる。

今後の研究の推進方策

今後の研究の方針は、フィールドワークは実施せず、これまでに収集したすべての映像データを吟味・取捨選択し、編集作業に専念する。とりわけ、センシティブかつ難しい問題として考えられるのは、編集作業をおこなううえで、どのように被写体が抱える個人的問題を表現・描写するかである。なぜならば、被写体の許可を得ていたとしても、内容自体に政治・経済的問題を孕んでいるからである。
これらの点に関して、編集作業を進めながら研究協力者と議論・確認作業をおこなう。また、字幕翻訳の問題も重要であるため、これらの編集作業にかんしては2025年度に現地カーボヴェルデで被写体とともに制作する予定である。

次年度使用額が生じた理由

2023年度に実施した現地調査の際に、研究協力者として映像作家の長良氏を招いたことで、人件費や旅費、必要機材の資金などを必要以上に見積もったため。同様に、2025年度には民族誌映画の成果を現地にて公表する予定である。したがって2024年度はなるべく研究費を使用しないように努めることを考えている。

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公開日: 2024-12-25  

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