研究課題/領域番号 |
21K13177
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
片 雪蘭 関西学院大学, 先端社会研究所, 研究員 (50848372)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 難民 / チベット / インド / モビリティ / レミッタンス / 物質性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、インド・ダラムサラとフランス・パリのチベット人コミュニティにおける「レミッタンス・フロー」に焦点を当て、海外のチベット人によるレミッタンスがインドのチベット難民社会に与える影響を経済的・文化的・物質的な側面から分析することである。初年度となる2021年度は、新型コロナウイルスの影響により予定していたフランスでの2回の現地調査を実施できず、難民/移民とレミッタンスについての文献調査と理論的枠組みの構築を主に行なった。同時に、過去に収集したデータをレミッタンスの視点から再分析することで、新しい発見をすることができた。具体的には、難民が移住をする際に欠かせない身分証明書や旅行証などの入手方法、所要時間、費用を調べ、それらと海外のチベット人コミュニティや海外からのレミッタンスとの関わりに着目して整理した。また、国内に滞在しているチベット難民と対面でインタビュー調査を実施し、さらには、インドとフランスにいるインフォーマントへオンライン・インタビューを実施することもできた。コロナ禍によりチベット難民の移住の頻度が減った一方で、移住できた人々のインドとの関わりでは変化が生じ、移住方法においてもこれまでとは異なるやりとりが確認された。 それらの成果は、論文「難民の移動、わたしの移動 ──去る者と残される者のはざまで」(先端社会研究所紀)のほか2021年5月に日本文化人類学会第55回研究大会、2021年10月に日本南アジア学会第34回全国大会にて2回の口頭発表をして公表されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初はフランスにおける2回の現地調査を予定していたが、新型コロナウイルスの拡散に伴い実施することができなかった。過去に収集したデータを再分析し、インフォーマントとのオンライン・インタビューを実施したものの、十分なデータが得られたとは言い難いため、全体の研究としてはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初2022年度には1回のインド調査を予定していたが、2021年度に現地調査でデータを収集できなかったことを踏まえ、今後フランスで1回の現地調査とインドで1回の調査を実施する予定である。ただし、2022年においても現地調査が難しい場合は、メールやビデオ電話による調査をより積極的に実施する方法、もしくは国内におけるチベット難民へのインタビューを模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は新型コロナウイルスの影響により、当初予定していたフランスにおける2回の現地調査が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。2022年度においては、フランスの調査とインド調査を実施し、また2回(2022年7月と8月に開催予定)の国際チベット学会に参加することで予算を費消する。
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