研究課題/領域番号 |
21K13177
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
片 雪蘭 奈良大学, 社会学部, 講師 (50848372)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 難民 / チベット / インド / モビリティ / レミッタンス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、インド・ダラムサラとフランス・パリのチベット人コミュニティにおける「レミッタンス・フロー」に焦点を当て、海外のチベット人によるレミッタンスがインドのチベット難民社会に与える影響を経済的・文化的・物質的な側面から分析することである。2023年度には主に現地調査と文献調査を行った。2023年9月にインドのデリーとダラムサラで現地調査を実施した。 具体的には、まずインドにおいてチベット難民数の減少にもかかわらずレストランやカフェ産業が開発されつつあるダラムサラとデリーのチベット難民居住区を観察し、特にレストランを経営しているチベット難民へのインタビュー調査を行った。起業をすることになった背景や具体的な起業のプロセスなどを聞き取り、チベット難民として起業することの難しさがある一方で、チベット難民が国際的なネットワークを用いながらビジネスを成功させていることが明らかとなった。 さらに、現在デリーのMajnu-ka-tilla(チベット難民居住区)は、デリーの公式的な「フード・ハブ」として多くのインド人若者が週末に出かける場所となっている。そのため、インド人若者たちに対しても、チベット難民居住区の意味について聞き取り調査を行った。チベット難民居住区が単に難民の空間だけにとどまらず、インド社会において新しい文化を作り上げていることも興味深い。 それらの成果は、2023年9月に日本南アジア学会第36回全国大会にて口頭発表(「フードハブとしての難民居住区:デリーのマジュヌ・カ・ティラにおけるチベット人と飲食業」)をして公表されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は計画していた現地調査を無事実施し、多くのデータを蓄積することができた。また、文献調査を通してレミッタンスと移民・難民の関係についてさまざまな事例を知ることができた。ただ、当初予定していた成果発表はそれほど進んでいないため、やや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度にも、続けてインドへの現地調査(2025年3月)を予定している。そこで得られたデータをもとに、論文の執筆や国内外における学会発表を積極的に進めたい。
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