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2022 年度 実施状況報告書

ポストコロニアル国制下におけるインドの移動民に関する人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K13178
研究機関中京大学

研究代表者

中野 歩美  中京大学, 現代社会学部, 講師 (90827958)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワードノマド / 移動民 / クリミナル・トライブ / 統治性 / 植民地主義 / 英領インド / 物乞い
研究実績の概要

2022年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴う渡航制限により昨年度から延期されていたインド・ラージャスターン州とイギリス・ロンドンでのフィールドワークをそれぞれ実施することができた。
イギリスの調査では、大英図書館(The British Library)にて集約的な行政資料調査を実施した。それにより、英国植民地期のインドにおいて、(1)移動生活を送る人びとがいかに犯罪性と結び付けられた「クリミナル・トライブ」として集合的に表象されていったのか、(2)そのような括りに分類された人びとを植民地政府がいかに管理・統制しようとしていたのかについての手掛かりを得るための政府や警察関係の資料にアクセスすることができた。今回収集した行政資料や文献を今後さらに精査していくことで、本研究の到達目的である「移動性」や「浮浪性」がいかに統治の対象となってきたのかの一端を解明することが期待できる。
一方インドの調査では、最後に現地を訪れてから3年近くの期間が空いてしまったことで、これまでお世話になってきた人びととの再会や近況報告のために調査地の複数の集落へ足を運ぶことに想像以上に多くの時間を費やすこととなった。結果として、当初予定していた移動コミュニティの生活実態に関するデータ収集は計画通りに実施することはできなかった。しかし、人びとの最後の現地での聞き取り以降の生活状況に関してはある程度の情報を収集することができ、またとくに住居や土地に関しては、今後の研究のさらなる展開につながりそうな興味深い話を色々と聞くことができた。
2023年度以降の調査では今回の調査を布石として、複数の移動コミュニティに対する聞き取り調査や参与観察という本来予定していた計画に沿って調査をさらに進展させていく所存である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度に1度もフィールドワークを実施できなかったことを踏まえると、イギリスとインドで合計3度の調査を実施し、データや資料を収集できたことは本年度の大きな進捗と言える。しかしインドの調査に関しては、新型コロナウイルス感染症の流行によりおよそ3年ぶりとなったことで、現地の人々の生活状況が大きく変わっていたり、彼らと改めて関係性を構築することに時間を割く必要があったりなど、当初の予定通りには進められなかった。以上を総合的に見て、昨年度よりは進展したものの、申請時の研究計画からはやや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

2023年度は、(1)2022年度のイギリス調査で収集した英領期の「移動性(浮浪性)」や「犯罪性」に関する文献資料の精査、(2)本来今年度の調査において実施予定であったインドの移動コミュニティに関する聞き取りや参与観察を通じた生活実態調査、(3)インド・ラージャスターン州の公文書館での資料収集調査、以上の3つの研究活動を軸として進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度も本課題に関するインド調査を予定していること、毎回の申請手続きが煩雑であること、期間に応じて金額に差がないことから、3月のインド調査のために1年間用のETAを申請し、その費用(25USD)の支出に充てようとしたところ「今回の出張のみでなく、個人旅行の際にも使用することができる」という理由で大学から支出が認められなかったため、その分の予算が次年度使用額として残った。2023年度のインド調査の旅費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 定住化した移動民と住まい方の技法―インドタール砂漠地域に暮らすジョーギーの住居空間に注目して―2023

    • 著者名/発表者名
      中野歩美
    • 学会等名
      中部人類学談話会第264回例会(中部地区研究懇談会)
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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