研究課題/領域番号 |
21K13185
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
高畑 柊子 成蹊大学, 法学部, 講師 (00844929)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 適法性の原理 / 行政訴訟 / 抗告訴訟 / フランス法 |
研究実績の概要 |
本研究は、わが国における抗告訴訟の理論構成ひいては行政法理論全体にとって適法性の原理という客観的要素がいかなる役割を果たしうべきかという問題意識のもと、フランス法の理論と経験から日本法に対する有益な視座を提示しようとするものである。具体的には、フランス越権訴訟における行政過程と裁判過程の連関という視角から、①行政に対する「申請」(権)概念の再考、②フランス法における手続違法の取消の現代的潮流の考察、③フランス法における裁判上の和解・認諾の実態と手続の解明、④コンセイユ・デタ調査部を中心とした判決後の執行担保のありようの分析、という課題を設定している。 今年度は、裁判過程から行政過程への接続にかかわる領域として、近年注目に値する法改正を重ねている都市計画法に焦点を当て、そのなかで、伝統的な裁判官像として措定されてきたものとの偏差を浮かび上がらせることを目指した(これに関連する業績として、「フランス都市計画法典の改正からみる行政裁判官の職責」と題する論文を、『法学』(東北大学)85巻2号45-80頁に公表した)。そこでは、「規整(regularisation)」を行政に求めるという裁判官の職責が登場することで、取消しに限られない柔軟な判断による適法性の原理と法的安定性の新たな均衡の模索が試みられていることが明らかとなり、今後の研究における裁判官の位置づけ・意味づけの考察にとって、ひとつの手がかりが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
職場環境の変化への対応と、出産・育児に伴う休業によって、研究を中断したため、研究計画の遂行は予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、育児休業に伴う研究の中断からの再開後に、引き続き、フランス法に焦点をあてた文献調査を進める。とくに、裁判上の和解・認諾に関する点を日本で入手できる文献の範囲内でできる限り明らかにすることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
出産・育児による研究の一時中断があったため。 文献調査のために必要な洋書および和書の購入、研究成果の公表のための学会および研究会参加のための経費として使用する。
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