研究課題/領域番号 |
21K13187
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山本 真敬 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (70734747)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 判決類型 / 違憲状態 / 違憲確認 / 立法裁量 |
研究実績の概要 |
2023年度は引き続き日独の判決類型論を検討した。まず日本に関して、「憲法判断を含む判決とその事後処理」では、違憲・違憲状態・合憲だが立法者にメッセージを送る判決といった判決類型に応じて国会がいかなる対応をしているのかを検討するとともに、裁判所の側にも立法者を効果的に活動させるための制度的な手当てが必要であることを指摘した。また「憲法判断の方法―特に立法不作為について」では、特に立法不作為に着目して憲法判断の方法を検討した。その際、各地で展開されている同性婚訴訟の裁判例のなかに、同性パートナーの法的保護の仕組みの制度設計に立法裁量が認められることを根拠に、違憲ではなく違憲状態判決を選択したものがあるが(例えば、東京地判2022年4月30日)、これについて本課題の観点から考察を加えた。ここでは立法裁量の存在と判決類型の選択が関連付けられていることになるが、平等違反や立法不作為の場合には、違憲状態判決ではなく違憲判決を下したとしても、そのことが仕組みの構築の選択肢が立法者に多様に認められることに影響を与えるものではないとして上記裁判例を批判した。さらに「立法者の『取組』の評価とその限界」では、合憲と違憲状態という判決類型の区分について、参院「1票の較差」訴訟の近時の動向を素材に、批判的検討を加えた。 次にドイツに関して、「バイエルン憲法擁護法判決」・「バイエルン憲法擁護法違憲判決(1 BvR 1619/17)について(1)(2・完)」では、ドイツ連邦憲法裁判所のバイエル憲法擁護法違憲判決の検討を行ったが、その際には本判決が規律の違憲性の内容に応じて違憲無効と違憲確認を分けていることについて、ドイツ憲法判例研究会において報告の上、公刊業績において若干の検討を加えた。 その他、依頼いただいた原稿や本報告書作成時点で公刊されていないものも幾つか存在しているが、それらについては割愛する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は主に判決類型の検討に引き続き従事した。2023年度に執筆したものの未だ公刊されていない業績のなかには、判決類型に関するものに加えて、「手続的な入念さの要請」に関するものもある。判決類型に関しては、もちろん充分ではないにせよ、2023年度で一定の検討は出来たのではないかと考える。「手続的な入念さの要請」については本格的な検討のための準備作業にようやく光が見えてみたところではあるが、いちおうは前進しているので、上記の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も、引き続き日独双方に検討の素材を求めながら、判決類型論および「手続的な入念さの要請」について検討を行う。新型コロナウイルス感染症の拡大や校務の関係で2022年度、2023年度には海外調査を行うことができなかった。また、この校務の関係で、進展に遅れが無いわけではないので、2024年度には特に「手続的な入念さの要請」について注力したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
校務の関係で2023年度は海外調査をなし得ず、そのかわりに洋書籍の入手を増やすなどの対策を講じたが、次年度使用額が生じた。他方、2024年度は、2023年度以降の円安の急速な進展により、予算不足で海外調査ができないおそれがある。その場合であっても、書籍等の入手により、研究計画に大幅な遅れが生じないように留意したい。
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