研究課題/領域番号 |
21K13210
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
佐竹 宏章 青山学院大学, 法学部, 助教 (30844146)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 背任罪 / 特別背任罪 / 検察審査会 / 起訴裁量主義 / 付審判請求 / 腐敗犯罪 / 公務員犯罪 |
研究実績の概要 |
2021年度は、研究の基礎を固めるため文献調査を中心に行った。具体的には、わが国の背任罪や特別背任罪に関する法制史や議論状況、ドイツの財政背任に関する議論状況などについて文献調査及び検討を行った。 今年度は、本研究に直接関連する学会報告や論文の公表は行っていない。ただし、本研究の基礎研究に当たる19K23163との関連では、「詐欺罪における欺罔行為と財産騙取」(佐伯仁志ほか編『刑事法の理論と実務 3』(成文堂、2021年)所収)を公表した。当該論文で展開した詐欺罪の欺罔行為の判断方法(特に、欺罔行為者や被欺罔者の間の法的権限や役割などを考慮した管轄分配)は、本研究で行う背任罪の解釈論的研究にとっても非常に重要な位置づけにある。 申請時点では2021年度に(詐欺罪や背任罪などを専門に研究しているドイツの研究者との交流や、関連する文献の収集などを目的として)ドイツへの渡航を計画していたが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響で断念した。 そのほか、本研究とも関連がある腐敗犯罪(特に賄賂罪)を専門にしているドイツ・トリアー大学のティル・ツィンマーマン(Till Zimmermann)教授のオンライン連続講演(明治大学大学院法学研究科連続講演会「汚職と刑法」、2021年11月22日、29日、12月6日)に参加する機会を得た。この講演での議論などを通して、本研究において実体法に関連する研究(背任罪の解釈論や公務員を主体にする特別背任罪の立法論)のみならず、手続法に関連する研究(特にわが国のように起訴裁量主義を採用する刑事システムにおける裁量統制の在り方や、その対比としてのドイツのような起訴法定主義を採用する刑事システムの検討)を組み込む必要性を強く感じたので、研究計画を一部修正した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、わが国の背任罪や特別背任罪に関する法制史や議論状況、ドイツの財政背任に関する議論状況などについて文献調査及び検討を行った。これらを基にした報告を2021年度に行う予定であったが、実現できなかったので、若干の遅れが生じているといえる。 そのほか、2021年度後半からは、手続法的研究を組み込む形で計画を一部変更したので、起訴裁量主義、検察審査会、付審判請求などに関する文献の調査及び当該文献の検討も行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、第一に、2021年度に行った背任罪に関する研究を成果として形にしていくことである。第二に、ドイツの財政背任に関する議論についてはまだ調査が不十分であると感じているので、継続して調査・研究を行う。第三に、手続法的研究との関係で、ドイツの起訴法定主義についての調査・研究を行うことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初執行を予定していた書籍が執行が可能な時期までに届かなかったため。
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