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2023 年度 実施状況報告書

政治的な手かがりとしてのキューに依拠した政策態度形成のメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K13227
研究機関学習院大学

研究代表者

横山 智哉  学習院大学, 法学部, 教授 (20806153)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードキュー / 政党ラベル / イデオロギーラベル / ヒューリスティクス / 党派性 / 無作為化コンジョイント実験
研究実績の概要

本課題の研究目的は、有権者が保有する情報量の不足を補い、効率的な意思決定や態度形成を可能にする手かがりとしてのキューがヒューリスティックとして機能する役割を実証的に解明することである。2023年度は、特に新型コロナウイルス(COVID-19)の感染状況が以前と比較すると落ち着いた状況であった。そのため、実験参加者にとってもCOVID-19などに代表される感染症のワクチン接種という題材は、すでに様々なメディアを通じた情報接触を経験しており、想定した処置効果が検出しにくいと考えられる。そこで、本年度は前年度に採用した題材から、より一般的な日常生活における会話他者の選択という意思決定を題材として政党およびイデオロギーがキューとして機能する可能性を検証する無作為化コンジョイント実験を実施した。
その結果、親密圏ではなくより一般的な会話状況においては、他者のイデオロギーが会話他者の選択に対してネガティブな処置効果を与えることが明らかとなった。しかし、その効果の程度は弱い。一方で、実験参加者全体あるいは長期的党派性を持たない無党派層において、特に他者の党派性に応じて会話他者の選択に与える効果が変化する可能性が実証された。
次に、上記の研究知見に基づき日本社会心理学会でポスター報告を行った。そして、その報告で得られたアドバイスに基づき論文の内容を改善した上で、国内の査読論文に投稿し、採択が決まっている。ただし、実際に論文が刊行されるのは2024年度である。
以上の研究業績に基づき、2024年度は人々の政治的意思決定および非政治的意思決定に与える政党や政治リーダー、あるいは人々の党派性やイデオロギーといった様々なキューの効果を検証する実験を実施する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は新型コロナウイルス(COVID-19)が収束しつつある状況だったため、2022年度で採用していたワクチン接種という題材を踏襲することができなかった。一方で、日常生活における会話の選択という新たな題材を採用し、その題材に基づくコンジョイント実験を実施した上で、学会報告を行い、査読論文への採択が決まっている。したがって、本研究計画はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

2023年度で実施したサーベイ実験の知見を踏まえて、今後の研究では人々の政治的意思決定および非政治的意思決定に与える政党や政治リーダー、あるいは人々の党派性やイデオロギーといった様々なキューの効果を検証する実験を複数回実施する。このような実験を行うことで、多角的な観点から人々の政治的・非政治的意思決定に与えるキューのヒューリスティックとしての役割を解明する。また、以上のような実験を通じて、本研究で得られた実証知見の追試を行い、それらの妥当性を確認する。

次年度使用額が生じた理由

2023年度は前年度に予定していた国際学会への旅費を利用し、口頭報告を行った。一方で、2023年度は前年度に想定していた感染症とワクチン接種の題材を変更する必要があり、新たな実験デザインを考案していたため、実験を実施するための費用を利用していない。しかし、すでに新たなデザインに基づく実験の妥当性が確認されたため、残額については今年度に種々のサーベイ実験の利用することからも、使用計画は円滑に遂行される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 その他

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Urban Resilience and Street-Level Bureaucrats at the Front Lines of Pandemic: Policy Implementation of Public Health Center Staff under the COVID-19 Pandemic2023

    • 著者名/発表者名
      Koichi Kawai, Tomoya Yokoyama
    • 学会等名
      The 2023 IPSA World Congress
    • 国際学会
  • [学会発表] 著書紹介: 政治的会話および政治的議論の規範的効果を実証する2023

    • 著者名/発表者名
      横山智哉
    • 学会等名
      第160回 関西大学法学研究所特別研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 会話相手の選択に与える政治的選好の効果: 日常生活での意思決定を対象としたコンジョイント実験による検証2023

    • 著者名/発表者名
      横山智哉、荒井紀一郎
    • 学会等名
      日本社会心理学会第64回大会
  • [備考] 【受賞】法学部政治学科 横山 智哉 教授の著書が、「第39回電気通信普及財団賞」を受賞しました

    • URL

      https://www.univ.gakushuin.ac.jp/news/29830.html

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公開日: 2024-12-25  

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