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2021 年度 実施状況報告書

コミュニティ・オーガナイジングと参加デモクラシー理論の再構成

研究課題

研究課題/領域番号 21K13231
研究機関福岡女子大学

研究代表者

石神 圭子  福岡女子大学, 国際文理学部, 講師 (20640866)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード参加デモクラシー / コミュニティ・オーガナイジング
研究実績の概要

昨年度は、オハイオ州、及びカリフォルニア州におけるコミュニティ組織への参与観察をもとに、イシューと動員、政策決定過程におけるオーガナイザーの機能を考察する予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症蔓延に伴う海外調査の中止により、予定を大幅に変更し、本研究全体に貫徹するコミュニティ・オーガナイジングと参加デモクラシー理論の関係を整理する作業を行った。その成果として、"How Is Democracy Corrupted or Resurrected?; The Possibilities of Civic Engagement through Practices of Community Organizing in the United States"を『国際社会研究』に投稿、刊行された。本論は、参加デモクラシー論が想定する主体的な市民像や、透明性や平等性の重視に対する批判理論を参照しながら、二次資料をもとにコミュニティ・オーガナイジングの実践がいかにして理論上の問題を実践的に解消しているのかを明らかにした。
また、これまでのネットワークを駆使して、オハイオ州、カリフォルニア州のコミュニティ・オーガナイザーにZoomでのインタビューを行った。オーガナイザーの専門的スキルの多様性、近年の労働組合の活性化を下支えする実践のあり方を知ることができた点で、今後の研究につながる重要なインタビューとなった。しかしながら、本来であれば組織全体の意思決定のあり方やイシューの選定、さらには州議会へのロビイング形態など現地調査を行わなければ正確に把握できない困難も浮き彫りとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当初より、研究機関の前半は、オハイオ州、カリフォルニア州での参与観察を行う計画であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症に伴う海外調査難航のため、昨年度の計画を大きく変更し、理論研究の整理が中心にならざるを得なかった。本研究が調査対象とするコミュニティ組織は、全米に支部を持つが、それらがトップダウンでネットワーク化されているわけではなく、且つコミュニティ・オーガナイザーの配置も半期ごとに更新されているため、現地で得られる一次資料やインタビュー結果が研究の進捗を決定づける。Zoomでのインタビューに切り替えたとしても、現地におけるネットワーク形成と関係維持がなければ、一人のオーガナイザーの主張が全体においていかに機能しているのか、あるいはオーガナイザー「間」の関係を捉えることはできない。また、州政府やカウンティレベルの政策過程をめぐるオーガナイザーの動きや各地域ごとにいかなるイシューが優先されているのかといった情報も何らかの形で公開されるものではない。研究手法上の限界が生じている。渡米の可否をふまえ、本年度以降の研究内容の変更もやむを得ない。

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルス感染症に伴う渡米不可が続き、研究内容全体の変更を迫られた場合は、本研究が調査対象とする組織のもう一つの側面、Faith-Based-Community Organization(教会ベースのコミュニティ組織)についてのエスノグラフィ研究の蓄積を参照することで、組織の資金の流れや連邦・州の政策との関係、各州、地方政府の抱える問題との関係を整理する。社会学領域には、この領域における質的・量的研究が多く存在しているため、それらを網羅することで少なくとも本研究が調査対象とするコミュニティ組織を、地方自治体における政策決定アクターとして捉える余地が生まれる。
実際のオーガナイザーの動きを観察できなくとも、資源動員や組織論、社会資本論の観点から具体的なキャンペーンを二次資料から追っていくことも可能である。したがって、本年度以降もアメリカにおける調査が全くできない場合は、二次資料から浮かび上がるコミュニティ組織のイシュー選択と州政府の政策形成を整理し、且つインタビュー対象者をアカデミアに拡げるなどの工夫によって参加デモクラシー論のアップデートという本研究の目的を追求する。

次年度使用額が生じた理由

オハイオ州、カリフォルニア州への現地調査に伴う旅費が予算のほとんどを占めていたため、次年度使用額が生じた。現地調査をとりやめ、理論研究を進めた結果として、英語での研究成果の公表にかかるネイティブ・チェックや文献講読料、図書購入などに充当した。次年度使用額は、次年度の現地調査費用にあてることとする。本年度も現地調査ができない場合には、引き続き二次文献の収集と図書購入などに充当する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] How Is Democracy Corrupted or Resurrected?;The Possibilities of Civic Engagement through Practices of Community Organizing in the United States2022

    • 著者名/発表者名
      Keiko ISHIGAMI
    • 雑誌名

      国際社会研究

      巻: 11 ページ: 47-59

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [備考] https://researchmap.jp/keikei619

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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