研究課題/領域番号 |
21K13240
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
熊倉 潤 法政大学, 法学部, 准教授 (60826105)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 中国共産党 / ソ連 / 少数民族 / 新疆ウイグル自治区 / 文化大革命 / 民族政策 / 政治過程 / 決定的分岐点 |
研究実績の概要 |
本研究は、中国の新疆ウイグル自治区(以下、新疆)における政策が、いかなる過程を経て「反テロ」の特徴を強め、少数民族を「 再教育施設」へ収容するまでに至ったのかという問題関心のもと、中国の新疆政策の変容過程を分析対象とする政治学的研究である。1949年の中国共産党による少数民族の「解放」から、近年の少数民族の施設収容に至る新疆政策の変容過程について、同政策をとりまくアクター間の相互関係、制度、政治過程、決定的分岐点といった政治学の着眼点から、日本国内及び台湾、トルコ等で収集・閲覧可能な資料をもとに、以下の各論の分析を進めている。 (1)文化大革命後から1980年代の変化 (2)1990年代から2000年代前半の変化 (3)2000年代後半以降の変化 本年度は以上の各論を通じて、中国の新疆政策の変容過程を解明し、政策の変遷を体系的に論じる単著の原稿執筆を進めた。当初の計画では、単著は『中国新疆政策の分岐点:少数民族の解放から収容へ』等と題して本研究期間の最終年度までに出版することを考えていたところ、『新疆ウイグル自治区:中国共産党支配の70年』(中公新書)として、本研究の2年目である2022年6月に中央公論新社から出版された。同書は重版となり、樫山純三賞(一般書部門)を受賞した。それだけでなく2023年2月には、台湾において同書の繁体字中国語版『新疆:被中共支配的七十年』(鍾寧訳、八旗文化)が出版された。また出版後の新疆ないし中国周辺地域の情勢の変化、それから中国の民族政策の変化についても、継続的に分析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
特に出版が計画以上に早く進んだため。具体的には上述の通り、『新疆ウイグル自治区:中国共産党支配の70年』(中公新書)が2022年6月に中央公論新社から出版された。同書は重版となり、樫山純三賞(一般書部門)を受賞した。また2023年2月には台湾において同書の繁体字中国語版『新疆:被中共支配的七十年』(鍾寧訳、八旗文化)が出版された。
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今後の研究の推進方策 |
日本語及び中国語で本研究の成果物が出版できたため、これにもとづき、今後、研究交流を活発に行い、講演、口頭発表等を通じ、研究成果を広く日本社会及び国際社会に還元したい。また今後の新疆ないし中国周辺地域の情勢の変化、それから中国の民族政策の変化についても、これまで以上に注意深く観察し、継続的に分析を行っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度前半は、新型コロナウイルス感染症の影響がまだ残っており、想定より旅費の執行が少なくなったため、次年度使用額が生じた。次年度以降、海外における研究交流、研究発表等のための旅費として使用していきたい。
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