研究課題/領域番号 |
21K13243
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上 英明 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80779728)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | キューバ外交 / ラテンアメリカの冷戦 / 人の移動と外交 / 米州関係史 / アメリカ政治外交史 |
研究実績の概要 |
3年次においては研究計画を着実に遂行することを目的に、2年次までに重ねてきた史料分析を土台に、報告や論文の準備を進めている。 具体的には、 まず国際ラテンアメリカ学会(Latin American Studies Association)において「ラテンアメリカ冷戦の終結」と題するラウンドテーブルに登壇者として参加し、それぞれの地域の冷戦研究において著名な研究者らと議論を交わす機会を得た。特に、ラテンアメリカ史研究の権威として知られるアラン・マクファーソン氏や他の新進気鋭の若手研究者らとの間で、冷戦がいつ、どこで終わったのか、誰にとって終わったのかをめぐって活発な議論ができたことが収穫となった。また、キューバ史研究で画期的な研究を進めているマイケル・ブスタマンテ氏からは、質疑応答の機会を通じ、ベトナムとキューバの事例を比較することなど、今後の研究のヒントを得られた。 このほかには昨年国際関係史の主要ジャーナルであるDiplomatic Historyから刊行された拙稿について、オンラインジャーナル(H-Diplo)に書評が掲載されるなどの反響があり、大きな刺激となった。 また、これとは別に執筆した国際主要ジャーナルに投稿した論文についても、査読プロセスが難航したとはいえ、良いフィードバックを頂き、論文の修正を進めることができた。同様に、本研究に関連する翻訳プロジェクトも最終成果の刊行に向けた進展があった。 以上の活動を進める上で、今年度もバイアウト制度を活用し、半期1コマ分の授業の時間を研究のために確保できたこともあった。新しい制度の創設に感謝しつつ、 さらに積極的に利用ができることを願っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画で目標にしていた2本目の投稿査読論文については、ジャーナル編集部および査読者側の都合で査読期間が何度も延長されるなど、こちらがコントロールできない理由で予定していた研究成果の発表が遅れてしまった。とはいえ、その間も着実に史料の読解は進めているので、概ね順調だと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
前述した投稿論文のフィードバックでは、様々なフィールドの研究者にインパクトを与えることを目指すという観点から、こちらが想定していた以上の量の二次文献をより広範に読み進めることを促された。したがって、3年次においては当初の計画を修正し、史料調査に従事することよりも、二次文献の読解を丁寧かつ大規模に読み進めることを優先的に進めていきたい。特に近年においてはキューバ研究、冷戦研究、および北米外交などの関連分野において多数の図書が刊行されていることを踏まえ、それらの収集と読解も進めたい。一方、史料調査についてはどこかで必ず実施したいと考えているので、先方の都合も考慮しつつ、今後も意欲的に模索していくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
第一に申請時に予定していたLatin American Studies Associationの国際大会がオンラインで参加できるようになり、旅費や滞在費が発生しない形で参加することになったことがある。第二に、米国ニューヨーク州近辺で引き続き代行調査を利用することができたことが大きい。このおかげで円安や物価高で高騰する航空機代や宿泊費、食費代をかけることなく、想定の3分の1程度の予算で必要な一次史料を大量に収集することが可能になった。第三に、これとは別に春にも国外における史料調査の可能性も模索したが、査読論文の審査員から史料調査に基づく研究の質について評価を得る一方、論文の意義をさらに広い分野において訴える上では、むしろ二次文献の読解を優先すべきであるという助言をいただいた。これを受け、そのように方針を修正したことがある。総じて、新型コロナウイルス感染危機以降、研究のあり方が大きく変わりつつあり、繰越のように柔軟な運用ができることに感謝している。
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