本研究2年目は令和4年8月23日から30日にかけて、沖縄県立図書館(那覇市)の郷土資料室にて、史資料の閲覧・収集を実施した。「国際婦人年」および「国連婦人の十年」におけるとくに普通の人びとの声を記録した記事等を多数収集することができた。また、北海道への帰途に、北海道立文書館(江別市)および札幌市中央図書館にて文献調査を行った。それらの分析と成果の発表は今後の課題としたい。
また、1年目に引き続き、令和5年2月に東京の外務省外交史料館にて調査・閲覧を行った。前年度に収集した史料(「国際連合局社会課「国際婦人年世界会議出張報告」(昭和50年7月10日)」)については、勤務先の紀要『人文・自然科学研究』35号にて「資料紹介」として発表した。当該史料は1975年にメキシコで開催された第1回世界女性会議に日本政府代表団のスタッフとして参加した外務省職員の見た景色を示すものであり、これまで世界女性会議は参加したアクティビストの残した語りに主に依拠することで歴史化されてきたことを思えば、異なる視点を提供する史料として意義があると思われる。
さらに、本研究活動のもう1つの大きな柱として、「国際婦人年」および「国連婦人の十年」における釧路での女性史の展開について、調査を進めることができた。釧路市ではじめての女性市議となった三上イトの生涯について、ご息女の佐藤孝子氏をはじめとする関係者へのインタビューも実施したほか、未刊行資料を含む入手資料によって三上の足跡を追いかけることができた。その成果は令和5年度中に論文として公刊する予定である。
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