研究課題/領域番号 |
21K13258
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
相馬 尚人 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (50897543)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 流動性の罠 / 財政政策 |
研究実績の概要 |
事業期間1年目にあたる2021年度は、メインプロジェクトである2種類の流動性の罠における財政政策の効果の分析を開始した。まず初めに、標準的なNew Keynesianモデルを用いてFundamental-driven Liquidity Trap(FLT)とExpectations-driven Liquidity Trap(ELT)の発生をモデル上で再現した。具体的には、負の需要ショックとインフレ期待低下ショックの異なる2種類のショックをモデルに導入することで、自然利子率の低下を伴う流動性の罠(FLT)と伴わない流動性の罠(ELT)のそれぞれを再現し、それらの性質を分析した。結果として、それぞれの流動性の罠における経済現象が定性的・定量的に同質であり、政策決定者から見て2つの罠の識別が困難であることを確認した。現在は同モデルにTime-to-buildラグを伴う公共投資政策を導入し、政策の含意を確かめているところである。 次に、上記のメインプロジェクトに最終的に合流する予定のサブプロジェクトとして、政策決定者が経済現象について不確実性を抱えている場合の最適金融政策について分析を行った。具体的には、そのような不確実性があるような状況をNew Keynesianモデルにパラメータ不確実性を導入することで再現し、その際に政策決定者の行動がより慎重になることで流動性の罠がより深刻化することを明らかにした。分析結果は論文「Parameter Uncertainty and Effective Lower Bound Risk」にまとめられ、日本銀行金融研究所のディスカッションペーパー(IMES Discussion Paper Series)として公表されている。現在は、学術雑誌への投稿に向けて論文の改訂を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りにプロジェクトが進行しており、そのうちの成果の一部を論文として公表できていることから、おおむね順調に進展していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
メインプロジェクトについては、当初の計画通り、上記のモデルにTime-to-buildラグを伴う公共投資政策と非伝統的財政政策の2種類の財政政策を導入し、政策含意を得ることを目指す。その後に分析結果をまとめ、なるべく早いタイミングでワーキング・ペーパーとして公表するつもりである。また、同時並行で国際コンファレンス・国内学会・セミナーなどで報告を行い、分析に対するコメントをもらいつつ、学術雑誌への投稿を目指す。 サブプロジェクトについても、既に公表済みのディスカッションペーパーの改訂を行い、学術雑誌へ投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:新型コロナウィルスの感染拡大にともない、参加を予定していた国際コンファレンスおよび国内学会がオンライン開催となったため、旅費の支出がゼロであった。また、人件費・謝金についても、今年度は他資金からの支出が可能であったため、本研究資金からの支出がゼロであった。 使用計画:論文の英文校閲や学術雑誌への投稿にかかる費用および研究支援のためのリサーチアシスタントの雇用に使用する予定。
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