今年度は、メタ分析について以下の二点の研究を実施した。 (1) 研究計画書にも書かれているコミュニケーション・モデルおよびバイアス補正方法について、査読で得たコメントをもとに論文を書き直している。また、修士学生のサポートを得つつ、バイアス補正方法について、改善方法を模索している。具体的には、もともとの論文では、バイアス補正方法として、複数ある推定値の中央値のみを考慮する手法を提唱していた。これに対して、複数ある推定値から用いる推定値をランダムに選び、それらについて統合した上で、その混合分布を検討する手法を考えている。この手法によって、真の分散を過小評価することなく、より保守的な推論をできると考えている。
(2) 京都大学にて2022年10月7-8日に開催されたメタ分析国際学会MAER-Net Colloquiumにて、真の効果の分布に関する仮定を検証する手法についての研究報告を行った。また、学部生の研究アシスタントのサポートを得つつ、この手法を複数のメタ分析データセットに適用している。主要な応用対象のデータセットでは、主に論じたい結論を得ることができた。ただ、上記の仮定を適切に検証するためには、検証結果の代替的説明をいかに排除するかを示さなければいけない。この手法がまだ現時点で明らかになっておらず、今後、統計手法の専門家などから助言を得つつ研究を進めたいと考えている。また、共同研究者がより多くのメタ分析データセットを整備しており、この推定手法をこれらのデータセットにも適用したい。
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