研究課題/領域番号 |
21K13283
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鎌田 拓馬 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (00889511)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 組織犯罪 / 違法市場 / 社会不平等 / 刑事政策 / 社会政策 |
研究実績の概要 |
今年度の主な研究実績は(1)2本の学術論文を国際的雑誌に投稿したこと、(2)関連するプロジェクトの論文投稿準備を行ったこと、さらに(3)関連するプロジェクトの初期段階のデータ分析を行なったことである。(1)に関して:1本目の研究プロジェクトは刑事政策が組織犯罪・違法市場に与える影響を検討したものである。具体的には「暴力団排除条例が、振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺に与える影響」を検討した。本プロジェクトの今年度の研究実績として、実証結果の頑健性チェックを行い、議論の強化を行なった上で、学術論文として国際的雑誌へ投稿した。2本目は組織犯罪に関連したプロジェクトとして違法市場拡大が社会にもたらす影響を検討したものである。違法薬物市場の拡大が人種間の住居不平等に与える影響に着目し、1980年代に起きたクラックコカインの蔓延が黒人の郊外化に長期的に与える影響を分析した。本プロジェクトの今年度の研究実績として、データ分析と論文執筆を行い、国際的雑誌に投稿した。
(2)に関して:テロ発生が社会人口動態に与える影響を検討する研究プロジェクトの論文投稿準備を行なった。具体的には1995年に発生した地下鉄サリン事件に注目し、地域の離婚率や結婚率へ及ぼす影響を分析した。このプロジェクトでは追加的なデータ分析を行ない、現在論文投稿に向けて準備を進めている。
(3)に関して:上の3つのプロジェクトに加え、並行して関連するいくつかの研究プロジェクトを進展させた。そのうちいくつかのプロジェクトでは初期段階のデータ分析を終わらせ、現在セミナーやワークショップで発表を行う準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2本の学術論文を国際的雑誌に投稿、1本の学術論文の国際的雑誌への投稿準備を進めた。さらに、並行して関連する研究プロジェクトも発展させることができた。以上の理由より概ね順調に進んでいると判断する。ただし他の研究プロジェクトに関してはデータ収集に時間がかかっているため来年度以降の課題とする。
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今後の研究の推進方策 |
今後は上に述べた学術論文の英文査読誌からの改訂を目指しつつ、別の研究プロジェクトのデータ収集、分析、学術論文への投稿準備を進める。特に「石油の輸入自由化による炭鉱業の歴史的衰退が、現代の暴力団勢力に及ぼす長期的効果」を検討するための歴史的データの構築を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
第一に、プロジェクトに必要なデータを構築するための人件費が発生しなかったことが挙げられる。第二に、コロナ禍のため対面での学会などに参加することなく旅費が発生しなかったことが挙げられる。来年度はデータ収集・構築のためのRAを雇う予定である。
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