研究課題/領域番号 |
21K13286
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
小松 悟朗 城西国際大学, 国際アドミニストレーション研究科, 准教授 (60878247)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | DSGE / 長期停滞 / 現金給付 / 金融政策 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、標準政策ツールである動学的確率的一般均衡 (Dynamic Stochastic General Equilibrium: DSGE)モデルの枠組みを用いて、COVID-19ような長期停滞下における現金給付政策の分析を可能とする「長期停滞現金給付政策DSGEモデル」を開発することである。 長期停滞による産出量の非定常な下落を再現する、すなわち、産出量や失業率などの変数が単位根過程となる、長期停滞DSGEモデルであるKomatsu (2024, Working Paper)やGali (2020)の上に、汎用な現金給付の枠組みであるGali (2020)を構築すべく開発を続けている。 これまでは、開発途中のモデルを用いて、長期停滞下における、国債発行と増税という伝統的な財政政策の枠組みのみならず、中央銀行による財政ファイナンスという給付政策による産出量、雇用、インフレなどへの効果を、DSGEモデルのインパルス応答関数により比較し、予備的な分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
長引くコロナ禍により、本研究のモデル構築の依拠となる Komatsu (2024, Working Paper) 自体の開発が、研究計画申請時の学会の中止、延期、または内容変更により遅れているため。加えて、本研究自体もアフターコロナ対応業務 (新たな留学生層の対応など) により、当初の想定以上の業務負担が継続しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、以下の2つの推進方策により研究を遂行する予定である。1つ目は、本研究のモデル構築の依拠となる Komatsu (2024, Working Paper) の開発を進め、本モデルへの現金給付政策の導入を完成させる。 * 上記のモデル開発後、これまでの予備的分析の結果と合わせて、DSGEによるインパルス応答関数による国債発行および財政ファイナンスによる財政政策の生産、消費、雇用、インフレなどへの効果をまとめる。2つ目に、経済停滞からの回復を判断する尺度である厚生損失関数を導出し、長期停滞下での政策効果を社会厚生で計量し分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の土台となるDSGEモデルの開発が遅れているため、当初の研究費執行予定もスライドする方で遅れている。また、コロナ禍の影響により、当初予定していた研究発表のための学会への参加のほとんどが中止を余儀なくされ、旅費を中心とした研究費の遂行も困難であった。本年度は、学会参加費ならびに渡航費と、最終論文投稿に必要な論文校正費や論文投稿費用として研究費を使用する予定である。
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