研究実績の概要 |
持続可能な開発目標やパリ協定の目標達成には、経済システムの中に持続可能な社会の実現に向けた金融メカニズムを組み入れる必要があり、その鍵となるのが ESG投資と言われている。ESG投資市場の拡大に向けて、ESG投資へのモチベーションを理解することは不可欠であるが、日本のデータを用いた研究は非常に限定的である。また、ESG経営の在り方に影響を与える要因についても十分に分析されていない。 本研究は課題(1)ESG経営のパフォーマンスに影響を与える要因の解明、そして、課題(2)ESG投資のモチベーションの解明を行うことで、企業・投資家の両者の視点からESG投資市場の拡大に向けた具体的な示唆を与えることを目的とする。 最終年度である3年目は、課題(2)に取り組んだ。具体的には、個人投資家及び投資への知識がある個人約1,800名にインターネット調査を実施し、どのような個人がESG投資に投資しうるのか、また、ESG投資へのモチベーションは何かについて明らかにすることを目的とした。ESG投資実績を被説明変数とした分析を行うことで、金融リテラシーや環境や社会課題への関心、economic preferenceなどがESG投資への決定要因になりうるのかを分析した。また、投資信託の選択型実験の結果を用いることで、過去のリターンや配当利回り、手数料やサステナビリティ基準といった要因が投資決定にどのような影響を与えうるかについても分析を行った。2024年度には共著者が国際ワークショップで、代表者がドイツ・カッセル大学の研究セミナー、また、国内の学会で研究報告を行い、それぞれで得たコメントを反映させ、同年度中に論文を投稿する予定である。
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