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2021 年度 実施状況報告書

拡散過程のダイナミクスにおける変化の検出と信用リスク分析への応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K13324
研究機関京都大学

研究代表者

KEVKHISHVILI RUSUDAN  京都大学, 経済学研究科, 講師 (60896083)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード信用リスク / 拡散過程 / 信用力 / 検出 / リスク管理
研究実績の概要

研究実施計画通り、(1) 企業の信用力(具体的には、自己資本と負債の関係)を表す拡散過程のダイナミクスにおける変化を検出するモデルと(2)そのパラメータ推定方法の研究を行った。企業の信用力は債務の返済能力を表し、信用力の変化を検出することは信用リスク管理の上で重要な課題である。本研究では、観察不可能な変数を導入せずに、観測可能なデータと明確な関係をもつメカニズムで拡散過程のパラメータが変化するモデルを考案した。また、市場データや財務諸表に基づく計算負荷の小さいパラメータ推定方法を確立した。

第一に、業歴の長い大企業の信用力変化を長期的なプロセスとしてモデリングし、信用力を表す拡散過程が長期均衡水準を上回る回数に応じて均衡水準自体が変化する内生的メカニズムを構築した。本メカニズムによって、信用力変化時点の検出及び均衡水準の変化がもたらす信用力変化の数値化は可能である。本研究の成果をまとめた論文は日本ファイナンス学会第30回記念大会の発表論文として受理された。

更に、企業の発行済株式の真の価値と時価総額を分けて扱い、後者の変動を記述する拡散過程のパラメータが観察可能な市場環境に応じて(市場参加者の行動に基づく明確なメカニズムで)変化するモデルを構築した。本モデルを用いて、発行済株式の真の価値の分布を導出し、市場データに基づくパラメータ推定方法を考案した。本モデルは市場参加者の行動を考慮した上で企業の内在的財務状況を捉えており、自己資本の真の価値の変化を検出することによって信用力の変化を検出する方法を提供している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和3年度において構築したモデルは、経済学的観点から妥当なメカニズムで信用力の変化を捉えており、モデルのパラメータは信用リスクの観点から解釈可能である。本モデルによって検出される信用力の変化の度合を数値化することが可能であり、本研究の目的である信用力の低下に関するアラーム機能をもつ指標の作成準備が整っていると言える。

今後の研究の推進方策

今後、これまでに考案したモデルによって検出される信用力の変化の数値化と信用リスク管理への応用に関する研究を行う。信用力の変化を経験した企業のデータ分析に基づき、効率的な信用リスク管理のツールとして信用力の低下に関するアラーム機能をもつ指標の構築に取り組む。研究成果を論文にまとめて、国内と米国におけるファイナンスの学会での発表、及び今年度中に査読付英文学術雑誌へ投稿することを目指す。

備考

令和3年度に公開したプレプリント
(SSRN上で公開)"A New Approach to Detecting Change in Credit Quality" (R. Kevkhishvili)
(arXiv上で公開)"A New Approach to Estimating Loss-Given-Default Distribution" (M. Egami, R. Kevkhishvili)

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] A New Approach to Detecting Change in Credit Quality2022

    • 著者名/発表者名
      Rusudan Kevkhishvili
    • 学会等名
      日本ファイナンス学会第30回記念大会
  • [学会発表] A New Approach to Estimating Loss-Given-Default Distribution2021

    • 著者名/発表者名
      Rusudan Kevkhishvili
    • 学会等名
      SIAM Conference on Financial Mathematics and Engineering (FM21)
    • 国際学会
  • [備考] 研究者個人サイト

    • URL

      https://www.kevkhishvili.com/

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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