債務の返済能力を表す信用力の低下を早い段階で検出することは信用リスク管理の上で重要な課題である。経済学的観点から妥当なメカニズムで信用力変化を検出する本研究のモデルは、企業の利害関係者に企業財務状況の効率的なモニタリング方法を提供する。特に、企業の信用力を表す拡散過程のみがリスク源泉となっており、モデルの計算負荷は小さい。また、自己資本と負債の大小関係に基づく明確なメカニズムで信用力の変化を内生的に捉えるため、モデルパラメータは信用リスクの観点から解釈可能である。本研究のモデルに基づく信用力変化の度合いを数値化する指標は信用リスク管理の有効なツールである。
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