研究課題/領域番号 |
21K13329
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
五島 圭一 早稲田大学, 産業経営研究所, その他(招聘研究員) (10843956)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ファイナンスデータ / 機械学習 / 気候変動リスク / 企業パフォーマンス |
研究実績の概要 |
ファイナンスデータに対する機械学習の応用は大きな可能性を秘めている一方で、金融実務への応用の課題の一つに機械学習が持つブラックボックスがある。金融実務においては説明責任や透明性が求められる場面も多いことから、本研究では、ファイナンス理論に基づく伝統的なモデルと機械学習に基づくモデルとの併用技術の開発を通じて、ファイナンスデータに対する説明可能な機械学習手法の開発を行う。 令和3年度は、解釈可能な機械学習手法について先行研究の文献調査を行うことでファイナンスデータに適用可能な手法の整理を行った。さらに、CO2排出量と企業パフォーマンスを題材として、機械学習を用いて因果推論を行うことのできるDouble Machine Learningの適用を試行することで以下の研究成果が得られた。 CO2排出量の少ない企業ほど長期的な企業パフォーマンスが良好となること、株主資本コストが低くなること、が確認された。また、多くの先行研究で用いられる線形回帰モデルによる共分散分析では欠落変数バイアスを含む可能性があることも示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、先行研究の文献調査や共同研究の構築、データの整備、リサーチアシスタントの手配等を行った。さらに、取得したデータを用いて分析の一部に取り掛かっており、研究発表を行った。そのため、研究計画についておおむね順調に進展している。一方で、所属部署の変更に伴い、研究活動環境を整えるために工数を割いたため、予算を次年度に持ち越している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続き国内外の学会で研究報告を行い、得られた有用なコメントを論文に反映させ、学術誌への投稿を目指す。また、新たにファイナンス理論に基づく伝統的なモデルと機械学習モデルとの予測精度に関する比較実験を行うことで、併用技術に対するベースラインモデルの探索を行う。そして、実データを用いて実験を行うことで、構築したモデルの有効性を明らかにする。モデルの挙動や出力情報が先行研究や現実の社会現象と整合的であるかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属部署の変更に伴い、研究活動環境を整えるために工数を割いたのに加えて、Covid-19の影響により参加予定だった学会に一部参加ができなかったため、予算を次年度に持ち越している。
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