研究課題/領域番号 |
21K13331
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中村 千尋 (渡辺千尋) 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (50737476)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 経済史 / 移民史 |
研究実績の概要 |
本研究は、第一次世界大戦期から1950年代半ばを対象としてフランスにおける移民政策の形成と変遷の過程を考察することを目的としている。時代区分としては、1)外国人労働者の導入・管理が国家介入の対象となった第一次世界大戦期、2)外国人労働者の受け入れが拡大した1920年代、3)規制強化に政策の基調が変容する大恐慌期、4)外国人労働者の強制労働とユダヤ人の国籍剥奪・送還が行われた第二次世界大戦期(ヴィシー期)、5)戦後構想が立案され、政策の挫折が表面化する解放期から1950年代半が対象となる。先行研究では利用されてこなったものも含め広範な一次史料の分析を通じて20世紀前半の移民政策を連続性・断続性の両面から考察することが主たる課題となる。 本研究の1年目にあたる2021年度は、第一次世界大戦期に諸外国との交渉を通じてフランスは外国人や植民地出身者をいかに募集、導入したのかを検討した。とくに国内労働市場の統制が強化されるなかで、政治家や官僚の間で交わされた議論を分析するとともに、政府の政策に協力した経済学者や法学者のネットワークに関して考察を行った。具体的には戦時期に陸軍省大砲・弾薬次官官房長官に就任したアルベール・トマの役割と彼のネットワークを中心に分析した。資料としては、フランス国立図書館等の資料・文献をオンラインで調査するとともに、東京大学経済学部図書館等の国内の大学図書館に所蔵された文献を主な分析の対象とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度の前半は産休・育休を取得し、研究を中断したため、上記のように評価した。とはいえ、第一次世界大戦期の労働力政策に関して先行研究の分析を進め、その概要については把握することができたことから、遅れを挽回することは十分可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方策としては、まず第一次世界大戦期の外国人労働者や兵士の徴用に関して、オンラインで閲覧可能なものを中心に史料調査を実施する。また国内で入手することが困難な同時代文献についてはフランスの古書店を通じて購入する。これまでの分析を通じて得られた知見は学会報告や論文として公表するように努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
フランスでの史料調査を実施することができなかったためである。2022年度に渡航が可能となれば、フランスでの滞在費用に計上する予定である。もし渡航が困難な場合には、フランスの古書店を通じて文献を購入する際に必要な経費にあてることや、フランスの国立図書館や文書館に依頼して複写費用にあてることを計画している。
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