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2021 年度 実施状況報告書

サッチャー政権期における通貨・財政・金融政策をめぐる歴史研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K13335
研究機関立教大学

研究代表者

土橋 康人  立教大学, 経済学部, 助教 (20882202)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード新自由主義 / サッチャリズム / 国際政治経済 / 英米関係 / 欧米経済史 / 政治史 / 通貨管理 / 財政金融政策
研究実績の概要

本研究の主要な目的は、イギリスの通貨管理政策及び財政金融政策との相互連関についての歴史的な分析を通じて、「新自由主義」や「サッチャリズム」という概念を問い直すことにある。これらの概念については、制度や政策だけでなく、多様な学問領域において研究が行われているが、学際的な研究にも進展が見られる。本研究は、この多様かつ学際的な視点を組み合わせることによって、1980年代前半のサッチャー政権下の政治経済の動態的メカニズムを描写することを目指すものである。
そこで必要となるのが、説明変数を豊富化しながら統合することにあり、初年度はこの点に注力しながら研究を進めた。具体的には、通貨管理と金融政策、税改革のみならず、住宅制度改革や地方自治体行政改革、対米及び対欧を中心とする経済外交、そしてインナーシティ問題として顕在化した社会的混乱への対処である。すなわち、初年度の研究では、経済外交などの国際的な要素から国内の財政金融政策と社会的な要因を横断的に把握し、それらを媒介させるメカニズムについて再検討するための基盤を構築することに尽力した。また、初年度においては、埋没している先行研究や研究機関及び政治組織が1980年代に公表していた報告書などから、統計データを発掘し整理するといった作業も進めた。後者には、組織内部向けの資料なども含まれているため、歴史的にも価値のあるものだと考えられる。つまり、2022年度以降に行うイギリスでの海外調査で得る資料を統合させるための、研究的な素地をこの初年度に作ったといえる。これにより、1980年代のイギリス政府が政策領域ごとの利害調整をいかに図ったのかに関する包括的な理解を深めながら、その政策体系を明らかにしていくことが可能となる。しかしながら、労働組合や英米ソ関係など、重要な論点も残っているため、これらについても引き続きサーベイは続けていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では、イギリスでの海外調査で得た資料を基に研究を進める予定であった。しかし、Covid-19の世界的な蔓延により、海外調査を次年度以降に繰り延べ、初年度は主に日本国内で入手できる資料分析と先行研究のサーベイを行った。そのため、進捗状況はやや遅れていると評価できる。

今後の研究の推進方策

当初は、イギリスでの資料調査を早期に実施することを研究計画に盛り込んでいたが、Covid-19の蔓延の影響から、当該調査を次年度以降に行うことにした。そのため、2022年度には、このイギリスでの調査を中心に据えながら研究を進めていくことが必要となる。具体的には、イギリス公文書館とイングランド銀行のアーカイブが所蔵する資料の分析が重要となる。また、イギリス公文書館が所蔵する資料については、拡充されてきたオンラインでの資料閲覧収集サービスも利用する。
2022年度では、これらの歴史資料の分析と初年度に進めてきた先行研究などのサーベイを統合し、研究成果の公表に努めていく。具体的には、英語及び日本語のワーキングペーパーなどを活用しながら、研究論文の学術誌への掲載に向けた準備を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、Covid-19の世界的な蔓延により、イギリスでの調査研究を次年度に繰り延べたためであり、2022年度に行うイギリスでの調査費用として支出する。

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公開日: 2022-12-28  

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