研究課題/領域番号 |
21K13337
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研究機関 | 岡山商科大学 |
研究代表者 |
池田 昌弘 岡山商科大学, 経済学部, 准教授 (30845946)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 近代アジア米貿易 / メコンデルタ / 米流通 / 華僑商人 |
研究実績の概要 |
当該年度の実績として、学会報告を1回、研究会報告を1回行った。学会報告では、アジア米貿易がひっ迫する1919年に注目し、インドシナ植民地政府が実施した輸出管理政策が、コーチシナ域内の米取引にどのような影響を及ぼしたのかを議論した。本課題の目的である、アジア米貿易の動向と地域内米消費との関係を部分的に解明するものとして位置づけられる。 また、2022年7~8月にかけてパリで資料調査を実施し、バリ国立図書館、クレディ・アグリコルS.A.(Crédit agricole S.A.)、アンスティトゥ・ドゥ・フランス図書館(Bibliothèque de l'Institut de France)へ訪問した。結果、インドシナ銀行サイゴン支店の報告資料とコーチシナ域内の主要観測所で計測された降雨データ(月次)が、1900年代~1940年頃まで入手できた。加えて、2023年3月にオンラインでサイゴン等の主要観測所における河川水位データ(日次)を申請した。 銀行の会議資料からは、刊行資料からは入手できなかった域内米生産にかかる面積・収量の年次データが作況報告付きで発見できた。これと降雨や水位データを突き合わせることで、当時の米生産がどの程度自然環境に規定されていたのかが分析可能になる。この分析を通じて、自然ショックによる生産の不安定性のなかでの生産主体の対応が、生産面・消費面において具体的に明らかになると期待される。これら統計と資料を整理した経過報告として、研究会にて植民地期メコンデルタの米生産に関する基礎的考察を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料調査を経て、分析の軸になる主要データと資料を入手できたのは大きな成果である。次年度では資料補完を試みながら、学会発表および論文執筆と投稿を進める。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでに入手したデータと資料から、学会発表・論文執筆と投稿を進める。同時に、欠落した資料の補完を行うためベトナムにて資料調査を実施する。 生産・流通にかかわる統計と資料がある程度まとまったため、これまでの研究成果を含めて20世紀前半を通じた議論が展開できるよう、分析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
近年の航空券や宿泊にかかる費用増をふまえ、今後の国際学会発表や資料調査のため書籍などの物品購入を控えた。
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