研究課題/領域番号 |
21K13339
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
早舩 真智 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (20781595)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | コンテナ / 製材 / 原木 / 海上輸送システム |
研究実績の概要 |
輸入材の取引が大ロット不定期の木材専用船による原木輸入から小ロット定期のコンテナ船による製材輸入へと主たる海上輸送システムが移行するにあたり、国際的な木材取引に関わる企業、行政、その他組織の組織間関係がどのように変化したかを明らかにするために、既往研究と2019年における製材輸入量上位5港(東京港、横浜港、名古屋港、大阪港、神戸港)の各種港湾統計の収集・分析をおこなった。その結果、木材(原木と製材の合計)のコンテナ輸入率は、東京港、名古屋港、大阪港では1980年代から徐々に上昇し始め、1990年代後半から2019年にかけて大きく上昇したが、輸入量が少なかった横浜港、神戸港では1975年から1990年という比較的早い段階で上昇するなど、港湾近辺の木材産業の歴史的経緯によってコンテナ利用の展開に差異があることが把握された。そして、製材と小口化した原木輸入のコンテナ化が進展し、日本の原木・製材に関連する海上輸送システムの主流が、①原料供給地(原木)→加工地(製材)・消費地、という不定期木材専用船を使用した2地点間航路から、②原料供給・加工地(原木・製材)→複数消費地、という定期コンテナ船を使用した多地点間ループ航路へと変容したことで、国際的な木材の需給動向のみならず、コンテナを使用する木材以外の貨物および他地域の需給動向が、輸入材のサプライチェーンにより強い影響を及ぼすようになったことが明らかになった。他方で、米材やニュージーランド材などでは、取引量や頻度、複数の需要者の共同輸入の動向によっては木材専用船が現在も有効に使用されていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスなどにおける現地調査のの制限はあったものの、既往研究および文献調査、各種統計の整理を的確におこなえたことにより、港湾および木材の海上輸送に関わる組織の分析をおこなうことができた。
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今後の研究の推進方策 |
5大港以外の港湾の木材輸入関連の既往研究・統計データの整理・分析をおこないつつ、国内外の木材関連企業や団体、港湾・行政への聞き取り調査をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響による出張・現地調査の制限があったため、その分の調査を次年度使用額として計画した。
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