研究課題/領域番号 |
21K13353
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研究機関 | 多摩大学 |
研究代表者 |
初見 康行 多摩大学, 経営情報学部, 准教授 (50737286)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | インターンシップ / キャリア / 就業体験 / 組織適応 / 大学生 / 若手社会人 / 組織社会化 |
研究実績の概要 |
2022年度は、前年度の分析結果をもとに研究を推進した。具体的には、大学在学中のキャリア形成活動が、入社後の活躍にどのような影響を及ぼすのかについて定量分析を行った。分析の結果、以下の3点の知見が得られた。 第1に、在学中の「社会人基礎力」が、入社半年後の「ワーク・エンゲージメント」に有意な正の影響を与えることが確認された。換言すれば、社会人基礎力に代表される「スキル・能力」を大学在学中に育成することは、入社後の仕事に対するエンゲージメントを高める可能性が高いことが推測される。 第2に、「社会人基礎力」と強く相関するものが「自律的キャリア観(キャリア自律)」であることが確認された。両者の相関係数は.74であり、性別や文系・理系に分割しても同様の結果が得られた。自己のキャリアを自律的にマネジメントしようとする意識(マインド)が強い学生は、キャリア形成活動への参加が積極的になり、結果として社会人基礎力に代表されるスキル・能力が高まることが推測される。 第3に、本研究では「社会人基礎力(スキル面)」と「自律的キャリア観(マインド面)」が高い学生のキャリア形成活動の特徴を分析した。分析の結果、両者のスコアが高い学生は、インターンシップに代表される「就業体験系」のキャリア形成活動の参加割合が高い傾向が確認された。 以上の結果から、2つの点が示唆される。はじめに、大学在学中に「自律的なキャリア観(マインド面)」と「社会人基礎力(スキル面)」を育成することは、入社後のワーク・エンゲージメントにポジティブな影響を与える可能性が高いという点である。また、それらを育成するために、インターンシップに代表される就業体験が有効であることが示唆される。今後は、入社1年後などの追跡調査を通して、在学中のキャリア形成活動が入社後の活躍にどのような影響を与えるのかを長期的に分析していくことが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響が収まりつつあり、予定していた調査を実施することができた。今後も円滑に研究が進むように尽力していく。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度も引き続き定量・定性調査を実施していく。特に入社1年後の追跡調査を行い、在学中のキャリア形成活動が入社後の活躍に及ぼす影響を分析していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に使用しなかった予算については、2023年度の調査費用にあてていく予定である。
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