研究課題/領域番号 |
21K13383
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
宮武 宏輔 東京経済大学, 経営学部, 准教授 (40784343)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | インターネット通信販売 / 消費者の受取方 / 置き配 / 宅配ロッカー / 貨物軽自動車運送事業者 |
研究実績の概要 |
消費者のインターネット通信販売(以下、ネット通販)の配送オプションの選択にはその「利用経験」が重要であることを確認してきた。その一方、ラストマイルの担い手不足と消費者が望む購入形態と配送方法の整理が必要であることも改めて明らかになったため、2023年度にはネット通販のラストマイルの現状について改めて整理した。特に宅配便事業者自体とネット通販事業者の独自配送ネットワークの双方で重要な役割を果たす、貨物軽自動車運送事業者の実態について、インタビュー調査も行いつつ、働き方と安定した配送能力の担い手としての課題を確認した。 また、消費者が望む配送オプションを選択するうえで、ネット通販事業者ごとに提供される配送オプションについての整理も必要と考え、主要通販事業者において選択可能な配送オプションと実際の利用実態についても、オンラインでのアンケート調査を行った。結果としては、置き配の利用意向は高いものの、置き配が利用できない(または置き配の選択が分かりづらい)ネット通販サービスが少なくないことを反映した結果であるとともに、以前の調査で明らかになった世代別で配送オプションの選択が異なる理由として、そもそも世代別で主に利用するネット通販サービス自体が異なることも挙げられることを確認した。 このことを踏まえ、ネット通販の配送オプション選択行動に影響する複合的な要因として、購入する商品の種類、金額、購入者の状況、そのネット通販で利用可能な配送オプションという前提条件を、回答者が一律の状況を想定できるようにする必要があることも改めて明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
事業者へのインタビュー調査と現地調査については、Covid-19の影響がほぼなくなり順調に実施できた。その一方、消費者の選択に与える要因として、ネット通販事業者自体の配送オプションの範囲や選択手順、配送事業者の種類なども影響している可能性も考慮すべきであることが明らかになったこと、研究機関を移って1年目のため予定していた海外学会での報告のための講義調整が難しかった点などから、さらなる研究の必要が出たこと、研究報告の予定を後ろにずらす必要も出て研究期間の延長を申請したことを踏まえて、「やや遅れている。」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、消費者の配送オプション選択に影響を与える要因について、アンケート調査を中心にその実態を整理してきた。その一方、購入商品の種類・金額、状況、過去の経験、利用するネット通販サービスなど多様な要因が複雑に絡んでいる実態も改めて明らかになった。2024年度は、これらの配送オプション選択に影響すると考える配送料金について、以前の研究課題で行った調査を改良する形で(コンジョイント分析にて料金の明示方法について)確認していく。 また、Covid-19感染防止のための経済行動が和らいだ(蔓延以前の状況に近づいた)2024年時点でも、置き配等の受取方の利用状況について再度調査も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会での報告日程を延長したため、旅費が発生しなかった点に加え、アンケート調査も新たな課題を踏まえて再設定することにしたため。
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