研究課題/領域番号 |
21K13387
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
大野 幸子 和光大学, 経済経営学部, 准教授 (30740005)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 予防行動 / 消費者行動 / 感情 / 感情心理学 / ポストコロナ |
研究実績の概要 |
本研究は、ポストコロナに向け消費者の感染予防行動を喚起・維持させるのに効果的な感情を検討するものである。現在COVID19に関して頻繁に用いられる「死亡率」など消費者の“恐怖感”に訴えるメッセージ、また予防やマナーを呼びかける“罪悪感”メッセージなどの感情訴求を例に、それらが実際の予防行動にどのような影響を及ぼすか解明を試みる。また、国民性によって予防行動に対する適切な感情の訴え方は異なる可能性があることから、日本・アメリカ・インドネシアの国際比較研究を行う。 3カ年計画の1年目である2021年度の研究成果については大きく5つが挙げられる。(1)消費者行動分野における予防行動に関わる研究レビュー、(2)医療・公衆衛生学分野における予防行動研究(主に健康行動理論に基づく)のレビュー、(3)予防行動に関する論文執筆と掲載(『商経論叢』第57巻第3号)、(4)テキストマイニングの知識習得、(5)予防行動を促すために使用されるワード(日本・米国・インドネシア)の収集である。先行研究の精査・レビューや予防行動の訴求に関わるワードの収集は研究の肝であり今後も継続的に行う。また本研究の分析で使用するテキストマイニングについてはText Mining Studioを購入し、本ソフトに詳しい研究者との意見交換や勉強会で知識を習得した。「研究実施計画」に照らしてみると、本年度は研究レビューに大きな時間を割いたため、定量調査を行うことが出来なかった。しかし、(3)で挙げたように先行研究のレビューに関わる論文執筆と投稿が行えたことで定性・定量調査にあたって重要な視点が得られた。今年度の成果は、今後の研究を進めるにあたって大きな意義があったと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、定量調査やインドネシアでの現地調査が叶わなかった。理由としては、先行研究のレビューに重きを置いた点と、Covid19による入国制限の影響である。前者の理由については、本研究が消費者行動や心理学、医学分野など様々な分野が関わるため入念なレビューが必要とされたためだ。分野によってベースとなる理論や見解の異なる点があるため引き続き精査が必要である。それらを踏まえた上で定量調査を行う予定である。後者の理由は、2021年度は引き続きCovid19による感染リスクや制限で渡航することが叶わなかったためである。しかし、2022年度は米国コーネル大学の東南アジア研究所に所属して研究を行うことが決まっている。東南アジア研究所には多くのインドネシアに関わる研究資料や研究者が所属するため、アメリカとインドネシア双方の研究を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、3カ年計画の2年目はアメリカを拠点として研究活動を行う。そのため日本対米国の国際比較研究をメインに進めるとともに、所属するコーネル大学東南アジア研究所のネットワークを活用してインドネシアの予防行動に関わる研究レビューをしっかりと行いたい。また、コーネル大学に所属する多くのインドネシア研究者と意見交換を行い、現地での調査設計を固めていきたい。Covid19の影響により現地調査を行えるか難しい面はあるが、その点についてはインドネシア出身の研究協力者(和光大学経済経営学部所属・バンバン・ルディアント教授)に相談しながら、ZOOMを用いたインタビュー調査等も検討し、有意義な研究期間としていきたい。3年目には、インドネシアで現地調査を行う予定である。尚、所属する和光大学がインドネシアのウダヤナ大学と協定を結んでいることから調査体制は整っている。最終年は、消費者の感染予防行動を喚起・維持させるのに効果的な感情についての定量調査を、日本・アメリカ・インドネシアの3地域で行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、先行研究レビューを重視しインターネット調査(楽天リサーチを予定)を実施しなかったため、主に「その他」項目で繰越額(次年度使用額)が生じた。2022年度は、アメリカを拠点として日本対米国の比較研究を行うため、繰越額は旅費として使用したいと考えている。また、予定していたインターネット調査は2023年度と2024年度の最終年に行う。研究者間のネットワークでより予算を抑えて実施することが可能になったので、予定通りの調査が行える。
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