研究課題
最終年度はフィリピンの流通近代化の特徴は何であるのか明らかにすることを目的に先行研究の整理や統計データの収集をおこなった。現地調査はコロナウイルス感染症の影響によりおこなえなかった。2020年から2023年度までの先行研究の整理や統計データの収集、マニラとナガにおける現地調査により、フィリピンの流通近代化は伝統的小売業を残したまま近代的小売業が発達したところが特徴であると明らかになった。また、流通近代化の要因とされている①中小小売業の店舗数と総売上の推移、競争力強化の方策、②チェーン経営を実施している小売業のリスト化と実施している流通効率化の方策、③卸売業の機能、④商慣行において、フィリピンとの合致点と相違点は次のように明らかになった。①中小小売業の店舗数と総売上の推移、競争力強化の方策については、中小小売商の競争力が強化せず、倒産している、②チェーン経営を実施している小売業のリスト化と実施している流通効率化の方策については、IT化による効率化が進み、PB商品は大手小売業に顕著である、③卸売業の機能については、すでに卸売業者が出現し、卸売業者には大手製造企業や小売企業との提携もしくは系列化、各地の富裕層による独立的な卸売業者が見られた。また、外資大手の製造企業が多く見られ、外資製造企業は自国でおこなってきたビジネスやマーケティング手法をフィリピンに持ち込んでいるが、伝統的小売業が全土に広がっているため、全土に流通可能な方策を取っていた、④商慣行については、大手製造企業や小売店による主導が顕著であった。
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