本年度は、日本人2204名を対象にブランド認知度の高い企業のCRMの寄付対象国の違い(「どの国のどのような人達を支援するのか」)がその商品選択時の態度(支払意思額)に与える影響を検証した。寄付対象国の選定のために,日本人600名(10代~60代)に寄付対象国(11ヵ国)に対する社会的距離(自分の国と対象国との心理的な距離感。心理的距離と国への好感度についてのプレ調査を行った。プレ調査の分析結果に基づき、本調査では、社会的距離と好感度の双方が低いスコアのロシアと中程度のスコアの南アフリカ,そして日本の3か国をCRMの寄付対象国として採用した。尚,対象商品はペットボトルの緑茶飲料,寄付内容は震災後の復興支援としている。本調査の検証には離散選択実験(選択型コンジョイント分析)を用いて行った。その結果,ブランド認知度の高い企業のCRMの寄付対象国が日本の場合,商品選択時の支払意思額はマイナスの値を示した(-12.87円)。一方,ロシアと南アフリカの場合,双方ともに商品選択時の支払意思額はマイナスの値を示したが(ロシア:-5.09円,南アフリカ:-12.73円),ロシアのみ有意な影響を確認できなかった。支払意思額は日本も南アフリカの場合もマイナスの値を示した。しかし,申請者による日本人を対象とした同様の効果検証に関する調査の分析結果の支払意思額は-49.71円であり,それと比較すると大幅に緩和されている。加えて,日本と南アフリカの支払意思額はほとんど同様の値を示していた。
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