本研究の主要な学術的貢献としては、会計情報システムの分野において、会計情報システムの設計に影響する要因と会計情報システムの設計、ひいては組織内における会計業務の実施それぞれの関係の包括的な分析を初めて実施したことが挙げられる。また副次的な分析の中ではクラウド会計ソフトの導入と組織内の会計業務の実施度合いについて検討し、クラウド会計ソフトの導入それ自体は会計業務の実施を促進しないことを指摘した。これは新技術を導入しようとする組織に対し、期待される成果を得るためには技術の導入そのものではなく、新技術をどのように使うべきかに重点を置くべきである、という実務的示唆を与えるものであると考えられる。
|